脊柱側弯症は、その進行が進むと、痛みや姿勢の崩れ、内臓機能への影響を引き起こす場合があります。固定術を含む矯正手術は、症状を改善し、生活の質を向上させるための重要な治療法です。しかし、手術後の回復過程で適切なリハビリを行うことは、術後の状態を良好に保ち、日常生活を快適に過ごすために欠かせません。ここでは、術前・術後に取り組むべきリハビリのポイントを詳しく解説します。
手術前からの準備が術後リハビリの成功を左右する
側弯症の手術に向けた準備段階で、筋力や柔軟性を高めておくことが術後の回復をスムーズにします。
- 側弯部のストレッチ
手術により固定される脊柱の周囲は、柔軟性が低下しがちです。側弯部に適切なストレッチを行うことで、筋肉の萎縮を防ぎ、術後の非固定部の可動域を確保しやすくして、かつ固定部の機械的ストレスを減少させます。 - 体幹筋の筋力増強トレーニング
体幹は脊柱を支える重要な部分です。術前からの体幹トレーニングを通じて、筋肉のサポート力を高め、手術後の回復を助ける土台を作りましょう。
これらは10代から60代までの幅広い年齢層で取り組むことができ、術後のリハビリ効果を高める準備段階として非常に有効です。
術後のリハビリで重要なポイント
手術後は、脊柱固定部を良好に保つためのリハビリが中心となります。以下に具体的な取り組みをご紹介します。
1. 体幹筋の筋力アップ
固定術後は、脊柱全体を支える体幹筋がより重要な役割を果たします。以下のようなエクササイズを取り入れます:
- プランク(体幹を安定させるトレーニング)
- サイドプランク(体側の筋肉を強化)
- ドローイン(お腹をへこませる動きで腹筋群を活性化)
2. 呼吸トレーニング
手術後は、固定部の影響で呼吸が浅くなることがあります。呼吸筋を強化するトレーニングを取り入れることで、全身の酸素供給をスムーズにします。
- 腹式呼吸:横隔膜を意識して深く呼吸することで、胸郭の柔軟性を高めます。
- インセンティブスパイロメーター(呼吸訓練器)の使用:肺活量を維持し、呼吸筋の強化をサポートします。
3. 脚の柔軟性向上
下肢の柔軟性を高めることは、脊柱固定部への負担を軽減するために重要です。以下のストレッチがおすすめです:
- ハムストリングのストレッチ
- 股関節の前後ストレッチ
- ふくらはぎのストレッチ
4. 個別プログラムの作成
術後リハビリは、手術方法や年齢、生活スタイルに応じてカスタマイズする必要があります。当センターでは、専門スタッフが一人ひとりの状況を詳しく評価し、最適なリハビリプランを作成します。
リハビリの継続がもたらすメリット
- 術後の痛みや不快感の軽減
- 姿勢改善と日常動作の安定化
- 脊柱固定部へのストレスの軽減
- 日常生活の質(QOL)の向上
当センターの取り組み
当センターでは、術前・術後の両方で適切なリハビリを提供し、側弯症患者さまの健康をサポートします。どの年齢層の方にも無理なく取り組めるプログラムを用意し、側弯症専門スタッフが寄り添いながら進めていきます。
最後に
側弯症の矯正手術は、患者さまの未来を変える大きな一歩です。その効果を最大限に活かすためには、術前の準備と術後の適切なリハビリが鍵となります。
「手術後のリハビリが不安」「どんなトレーニングをしたらいいかわからない」といったお悩みがあれば、ぜひ一度ご相談ください。専門スタッフが全力でサポートいたします!
東京慈恵医科大学病院E棟2階 フィジオセンター
お問い合わせ先:info@physiocenter.jp
電話:03-6402-7755
理学療法士 シュロス側弯セラピスト 大田