変形性股関節症と関節軟骨の構造・加齢変化について

変形性股関節症と関節軟骨の構造・加齢変化について


本日のブログでは変形性股関節症と関節軟骨の構造・加齢変化について解説します。

関節軟骨は、股関節の場合は大腿骨頭や寛骨臼の関節面を覆う硝子軟骨です。クッションのように衝撃を吸収し、滑らかな動きを可能にする摩擦低減機能を備えています。

年齢を重ねることにより、この関節軟骨は次第に変性を起こしますが、以下の内容が複合的に関与すると考えられています。

1つめは、水分含有量の低下です。若年期の軟骨は約70〜80%が水分ですが、加齢によりプロテオグリカン量が減少し、水分保持能が低下します。結果として弾力性が損なわれ、衝撃吸収能力が下がってしまいます。

2つめは、コラーゲン構造の変化です。II型コラーゲン繊維の架橋が増加し、硬化・脆弱化が進みます。これにより表層に微細な亀裂(fibrillation)が生じやすくなります。

3つ目は、軟骨細胞の減少と機能低下です。軟骨細胞は加齢で数も代謝活性も低下します。さらに炎症性サイトカイン(IL-1β、TNF-α)の影響を受けやすくなり、軟骨分解酵素(MMPs)の活性が上昇します。

4つ目は、修復能力の著しい低下です。関節軟骨は、無血管組織であるため再生能力はもともと低いのですが、加齢によってさらに修復速度が遅くなり、小さな損傷でも長期に渡り残存します。

臨床的な意味として、こうした加齢変化は、変形性股関節症の発症・進行に直結します。初期では軟骨弾力の低下や微細損傷があっても痛みを感じにくいことが多く、進行して初めて症状が現れます。やがて軟骨が薄くなり、関節裂隙の狭小化、骨棘形成、滑膜炎が生じ、歩行時痛や可動域制限、関節のこわばりといった症状が出現します。

予防と長期的な管理のポイント
関節軟骨の加齢変化を完全に止めることはできませんが、進行を遅らせることは可能です。フィジオセンターでは、長期的に渡って出来るだけ股関節の機能を保つ上で以下の内容をご提案しています。

1つ目は適度で継続的な運動です。関節軟骨は荷重と除荷を繰り返すことで滑液循環が促進され、栄養が届きやすくなります。ノルディックウォーキングや水中運動、エアロバイクなどが効果的です。

2つ目は体重管理です。体重増加は関節への負担(joint reaction force)を高め、摩耗を促進します。標準体重の維持が大切です。

3つ目は股関節周囲筋の強化です。腸腰筋・小殿筋・深層外旋六筋などの股関節安定筋群を強化すると、荷重の分散が向上し軟骨への過負荷を防ぐ働きが期待できます。ぎます。

4つ目は、姿勢・動作の見直しです。長時間の同一姿勢、偏った体重のかけ方、深いしゃがみ込みなどは股関節へのの負担を増やします。その方にあった姿勢や動き方をご提案します。

まとめ

関節軟骨は、衝撃を吸収し関節の円滑な動きを支える重要な組織です。しかし加齢に伴う構造変化は避けられず、その影響は徐々に蓄積します。適切な運動、体重管理、筋力強化、姿勢改善によって股関節の健康寿命を延ばすことが可能です。

当センターでは変形性股関節症・発育性股関節形成不全(先天性股関節脱臼)をお持ちの方で、医療機関での外来リハビリテーションが処方されていない方、また医療保険での算定日数の影響により外来リハビリテーションが終了されている方、外来リハビリテーションと並行してリハビリテーションの実施をご希望される方に対して、股関節への負担を出来るだけ軽減するための、包括的なサポートを行っております。

ご興味のある方は、ホームページまたはお電話にてお気軽にお問い合わせください。
どうぞよろしくお願いいたします。

理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP)/マリガンコンセプト認定理学療法士
LSVT®BIG認定セラピスト BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
津田 泰志

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