スクワット動作の深さと関節運動のタイミングについて

スクワット動作の深さと関節運動のタイミングについて

フィジオセンターでは、変形性股関節症・変形性膝関節症をお持ちの方々に対して、安全かつ効果的な運動指導を行うために、エビデンスに基づく情報をブログで掲載しています。今回のブログでは、スクワット動作における関節可動域と動作のタイミングがスクワットの深さにどのように関係するかを検討した研究(Zawadkaら, 2020)を紹介します。

□研究の概要
この研究では、健常な若年成人60名(男性40名、女性20名)を対象に、最大の深さの自重スクワットを行い、各関節(足関節・膝関節・股関節・骨盤・腰椎)の矢状面における関節可動域と、最大角度に達するタイミングを解析しました。

□研究の結果
その結果、スクワット深さに最も強く寄与したのは「膝関節の関節可動域」であり、男女共通して非常に高い相関が認められました。さらに、腰椎や股関節の関節可動域も有意に関連しており、特に女性では股関節の関節可動域との関連が強く示されました。

その一方で、骨盤の前傾角度や足関節背屈の関節可動域は、女性においてはスクワット深度と有意な相関を示さず、男性においてのみ、若干の相関が見られました。これは、女性が腰椎の可動性を抑え、骨盤の動きを中心としたパターンで深くしゃがむ傾向があることに起因すると考えられます。

□フィジオセンターでの臨床場面での応用

1つ目は、 膝関節の可動域確保が深さに直結する事です。スクワット深度に最も強く影響するのは膝関節の屈曲関節可動域であり、股関節だけでなく膝関節の柔軟性も評価・介入の対象とすることが重要です。特に、関節可動域制限がある対象者に対しては、椅子の高さ調整やのスクワット深さを調整する事で段階的に指導することが効果的です。

2つ目は、骨盤前傾のタイミング調整を行う事です。深いスクワットでは骨盤の前傾が早期に完了する必要があるため、体幹・骨盤帯の安定性や股関節屈曲の可動性が不十分な場合には代償動作(腰椎の屈曲)が生じやすくなります。体幹深層筋のエクササイズや股関節の筋肉に対するリリースやストレッチを行う事が大切です。

3つ目は、 足関節背屈を早期のタイミングで確保する事です。足関節背屈の関節可動性の低下は膝関節や股関節の代償的な屈曲招くリスクがあります。特に男性のデータからは、足関節背屈の動作タイミングもスクワットの深さ関連するため、下腿三頭筋の長さを保つ事も重要です。

□まとめ
本研究は健常者を対象とした研究ではありますが、スクワット動作の深さを決定する関節可動域と各関節の動きのタイミングの重要性を示しており、変形性膝関節症・変形性膝関節症をお持ちの方の運動療法において、これらの要素を考慮したアプローチが必要であることがわかります。

フィジオセンターでは、こうした研究成果を踏まえ、個別の姿勢や動作分析に基づいたリハビリプログラムを提供しています。変形性股関節症・変形性膝関節症の方が、より安心して運動に取り組めるよう、今後も定期的にブログを更新していきたいと考えています。

当センターでは変形性股関節症をお持ちの方で、外来リハビリテーションが処方されていない方、また医療保険での算定日数の影響により外来リハビリテーションが終了されている方、外来リハビリテーションと並行してリハビリテーションの実施をご希望される方に対して、変形性股関節症をお持ちの股関節に対して最適と考えられる施術・コンディショニングをご提案しています。

ご興味のある方は、ホームページまたはお電話にてお気軽にお問い合わせください。
どうぞよろしくお願いいたします。

理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP) / マリガンコンセプト認定理学療法士
LSVT®BIG認定セラピスト BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
津田 泰志

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