女性における職業と変形性股関節症の関係について

女性における職業と変形性股関節症の関係について

フィジオセンターでは、変形性股関節症や発育性股関節形成不全をお持ちの方々に向けて、日常生活や運動習慣の中に取り入れやすい、根拠に基づいた情報を定期的にお届けしています。今回は、女性に多い「身体的に負荷の大きい職業」と変形性股関節症との関係を明らかにした、システマティックレビュー(Unverzagtら, 2024)をご紹介します。

□研究の概要
この研究は、「身体的に負荷の大きい職業」に従事する女性が、変形性股関節症を発症するリスクについて検証した、システマティックレビュー(多くの研究を取りまとめたもの)です。

対象となったのは、清掃業・介護士・販売員・調理業務・保育士・美容師といった女性に多い業種に従事する労働者が対象となりました。これらの職種は「長時間の立ち仕事」「繰り返しの動作」「前屈・中腰姿勢」など、関節に対する持続的な負荷が大きい事が特徴とされます。8つの研究(6つのコホート研究と2つの症例対照研究)を統合し、約500,000人以上の女性労働者を分析対象としています。

□研究の結果
結果として、以下の職種に従事している女性では、股関節症の診断率が有意に高い傾向が示されました。

・清掃業:障害年金や手術に至るケースが多く、最大で5.4倍のリスク上昇。
・販売員:身体的負荷に加えて立位での業務が多く、3倍以上のリスクを示す研究もあります。
・調理業務:長時間の立位作業と重い物の取り扱いにより、股関節への負担が増加。
・介護士:患者様の移乗や介助を繰り返す中で、股関節に高負荷がかかりやすい。
・保育士:中腰やしゃがみ姿勢、子どもの抱きかかえなどにより、慢性的なストレスが加わる。
・美容師:長時間の立位・同一姿勢が続くことで負荷が蓄積。

以上のような結果が報告されています。

□フィジオセンターでの研究結果の応用
この研究結果から、以下の内容の点が検討できます。

1つ目は、立ち姿勢の修正と定期的に体を動かし同一姿勢を避ける事です。長時間の立ちっぱなしの姿勢はどうしても股関節を中心とした関節や腰部に負担がかかりやすくなります。そのため、同じ立位姿勢でも出来るだけ股関節や膝関節に負担の少ない、良い位置関係の姿勢を保つ事、また良い姿勢を保てていても定期的に歩く事や体を動かす事が大切です。

2つ目は、股関節に負担がかかりやすい動きの修正です。重たいものを持ち上げるようなリフティング動作や、ご自身で移動の難しい患者様の移乗動作やトランスファーを行う動きは腰部や股関節、膝関節の負担が大きくなり易い動作となります。この場合の動きの順番や力の入れ方、体の使い方を修正する事で、変形性股関節症のリスクを軽減する事が大切だと考えます。

□まとめ
本研究(Unverzagtら, 2024)は、「女性に多い身体的に負荷の大きい職業」と変形性股関節症の発症リスクとの関連を明確に示した貴重な報告です。

当センターでは、変形性股関節症・変形性膝関節症をお持ちの方で、外来リハビリテーションが処方されていない方、また医療保険での算定日数の影響により外来リハビリテーションが終了されている方、外来リハビリテーションと並行してリハビリテーションの実施をご希望される方に対して、最適と考えられる施術・コンディショニングをご提案しています。

ご興味のある方は、ホームページまたはお電話にてお気軽にお問い合わせください。
どうぞよろしくお願いいたします。

理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP) / マリガンコンセプト認定理学療法士
LSVT®BIG認定セラピスト BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
津田 泰志

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