片側性末期股関節症の女性患者における転倒者の歩行特性

片側性末期股関節症の女性患者における転倒者の歩行特性

フィジオセンターでは、変形性股関節症をお持ちの方へ向けて、定期的にブログにて情報発信を行っています。今回は、昨年に日本から発表された研究論文の、片側性の末期変形性股関節症の女性患者における転倒者の歩行特性について解説します。

□研究の概要
本研究では、片側の末期変形性股関節症を抱える女性患者を対象に、「転倒した人」と「転倒していない人」の歩き方を比較し、転倒リスクを予測する新たな特徴を調査したものになります。対象者は、進行した片側の変形性股関節症を持つ女性患者77名を対象に調査が行われました。そのうち17名が過去1年以内に転倒を経験していました。

参加者には、小型の加速度センサーを足首と腰に取り付けて歩行分析を実施し、歩行スピード・歩幅・歩くときの足や腰の動きを測定しました。

さらに、転倒リスク評価や股関節の機能スコア(日本整形外科学会股関節機能評価=JOAスコア)なども合わせて調査し、「転倒したグループ」と「転倒しなかったグループ」で比較を行いました。

□研究結果:転倒する人としない人の違いとは

・年齢と転倒リスク:転倒したグループは、転倒していないグループより平均で4歳年上でした。年齢とともに筋力やバランス能力が低下することが、転倒リスクを高める要因になっていると考えられます。

・股関節機能の低下の低下:転倒グループでは、JOAスコアが低い(日常生活動作の項目)ことがわかりました。

・歩き方の特徴:転倒したグループでは、歩幅(ストライド長)が短くなっていました。 特に変形の影響のない足(健側)でも歩幅が縮まっていました。更に、転倒したグループでは、腰の上下動が少なくなっていました。これは、 腰の動きを小さくする事で、バランスを崩しにくくしている可能性があります。

    □フィジオセンターで考えられる応用方法については、以下のように考えられます。

    1つ目は、歩幅を保つための股関節の関節可動域の維持です。股関節の変形が進行すると、関節可動域制限が基本的には強くなるため、可能な範囲で筋肉の長さを保つ事や組成結合組織の柔軟性を保つ事が大切です。

    2つ目は、体幹部を安定し適切な動きを促す体幹のインナーマッスルのエクササイズです。股関節のインナーマッスルや立った姿勢でよい姿勢などを保つためには、体の中心となる体幹の安定性が重要です。

    3つ目は、バランス機能を維持・向上するための固有受容感覚に働きかけるエクササイズです。別の研究では、変形性股関節症をお持ちの方の場合、固有受容感覚(関節や筋肉、靭帯などから関節の位置関係や筋肉の作用などの情報を脳へ送る機能)が低下する事が指摘されているため、バランスパッドや不安定板を使用して立位バランスエクササイズなどを行う事も重要です。

    当センターでは、変形性股関節症をお持ちの方で、外来リハビリテーションが処方されていない方、また医療保険での算定日数の影響により外来リハビリテーションが終了されている方、外来リハビリテーションと並行してリハビリテーションの実施をご希望される方に対して、最適と考えられる施術・コンディショニングをご提案しています。

    ご興味のある方は、ホームページまたはお電話にてお気軽にお問い合わせください。
    どうぞよろしくお願いいたします。

    理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
    Certified Mulligan Practitioner(CMP) / マリガンコンセプト認定理学療法士
    LSVT®BIG認定セラピスト BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
    津田 泰志

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