フィジオセンターでは、変形性関節症をお持ちの方へ向けて、定期的にブログにて情報発信を行っています。今回は、今年に中国から発表された研究論文の、変形性関節症とタバコ(喫煙)の関係について解説します。
□研究の概要
本研究では、喫煙と変形性関節症(股関節・膝関節・脊柱の変形)の関係を調べました。新しい解析方法を用いる事で、「別の要因による影響(交絡)」や「原因と結果が逆転している問題(逆因果)」を避けることができます。
□研究結果:喫煙と変形性関節症リスクの関連
・喫煙を始めること(smoking initiation)で、変形性股関節症の発症リスクが16%上昇。変形性膝関節症の発症リスクが膝関節症リスクが20%上昇する事が確認されました。
・一生涯の喫煙量が多い場合(lifetime smoking)では、変形性股関節症の発症リスクが55%上昇。変形性膝関節症の発症リスクが101%上昇する事が確認されました。
・喫煙の開始年齢や1日に吸う本数、喫煙をやめたかどうかについては、変形性関節症リスクに有意な関連は見られませんでした。
□なぜ喫煙が関節症リスクを高める理由
・1つ目は、慢性的な炎症を促進する事です。 タバコの成分(特にニコチン)は、炎症性サイトカインの分泌を促進し、関節軟骨の破壊酵素を活性化させる。
・2つ目は、酸化ストレスの増加です。タバコに含まれる有害物質が関節内で活性酸素を増やし、軟骨細胞を傷つける事が指摘されています。
・3つ目は、血流障害です。ニコチンによる血管収縮が関節への栄養供給を悪化させ、修復能力を低下させる可能性があります
□まとめ
喫煙は心血管疾患やがんだけでなく、変形性股関節症や変形性膝関節症の発症リスクをも高めることが明らかになりました。そのため、禁煙支援は単なる全身管理の一つでは、関節の健康を守る上で重要です。
当センターでは、変形性股関節症・変形性膝関節症をお持ちの方で、外来リハビリテーションが処方されていない方、また医療保険での算定日数の影響により外来リハビリテーションが終了されている方、外来リハビリテーションと並行してリハビリテーションの実施をご希望される方に対して、最適と考えられる施術・コンディショニングをご提案しています。
ご興味のある方は、ホームページまたはお電話にてお気軽にお問い合わせください。
どうぞよろしくお願いいたします。
理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP) / マリガンコンセプト認定理学療法士
LSVT®BIG認定セラピスト BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
津田 泰志