変形性関節症と疲労に関連する要因について

変形性関節症と疲労に関連する要因について

フィジオセンターでは、変形性股関節症や変形性膝関節症をお持ちの方へ向けて、定期的にブログにて情報発信を行っています。今回は、2021年にイギリスから報告された研究論文の、変形性関節症と疲労に関連する要因について解説します。

□はじめに
変形性股関節症や変形性膝関節症は、痛みや関節可動域制限が主要な症状とされていますが、近年、「疲労感」も重要な症状の一つとして注目されています。疲労感は単なる「疲れ」ではなく、慢性的で回復しにくい「エネルギーの枯渇」として、多くの患者さんの日常生活に深刻な影響を与えてる可能性が指摘されています。

□研究の概要
今回ご紹介するのは、Fawoleらによる系統的レビューとベストエビデンス合成(2021年)の結果です​。この研究は、変形性股関節症・変形性膝関節症をお持ちの方々の疲労感の関連因子を整理します。

□研究の結果は以下の内容でした。

・疲労感に関連する主な因子としては以下のものが挙げられます

1つ目は、身体機能の低下です。自己申告による身体機能の低下(例:歩行困難や立ち上がり動作の困難)は、疲労感と強く関連していました。身体機能の低下は、活動量の減少や筋力低下を招き、結果的に「疲労感」が増す悪循環を生む可能性があります。

2つ目は、抑うつ症状です。抑うつ症状も疲労感と強く関連していることが明らかになりました。痛みや生活制限による心理的ストレスが、疲労感の悪化に直結している可能性が示唆されています。

3つ目は、疼痛(痛み)です。疼痛の強さも疲労感と中等度の関連が認められました。特に痛みが強いほど、睡眠の質低下や活動量の減少を通じて疲労感が増大する傾向があります。

4つ目は、身体活動量の低下です。身体活動量が少ないことも、疲労感と関連していました。運動不足は筋力低下だけでなく、心肺機能の低下や代謝効率の悪化にもつながり、慢性的な疲労感を助長します。

□フィジオセンターでの応用としては以下の内容が考えられます。

1つ目は、疲労感を含めた包括的アセスメントです。初回のご利用時から定期的なご利用の際に、従来の「痛み」「関節可動域」「筋力」などの評価に加え、「疲労感」も主観的評価項目に加えます。これにより、クライアントの方の疲労度の経過を追う事が可能となります。

2つ目は、疲労感レベルに応じた運動プログラム設定です。疲労感が強い方には、低負荷のエクササイズからスタートし、段階的に負荷を上げる運動メニューをご提案します。一方、疲労感が軽減してきた方には、持久力向上を目的とした運動(例:歩行時間の延長、プールやサイクリングなどの有酸素運動)を導入し、さらなる疲労感の軽減を目指します。

3つ目は、疲労を悪化させない基本動作の指導です。普段立ち上がる事の多い椅子の設定や、屋外歩行の際に関節の変形の影響により、歩行効率が低下する際にはT字杖やノルディックウォーキングのポールの使用などをご提案して疲労感の軽減を図ります。

    □まとめ
    変形性股関節症・変形性膝関節症において、「疲労感」は痛みと並んで重要な症状として考えられています。

    当センターでは、変形性股関節症・変形性膝関節症をお持ちの方で、外来リハビリテーションが処方されていない方、また医療保険での算定日数の影響により外来リハビリテーションが終了されている方、外来リハビリテーションと並行してリハビリテーションの実施をご希望される方に対して、最適と考えられる施術・コンディショニングをご提案しています。

    ご興味のある方は、ホームページまたはお電話にてお気軽にお問い合わせください。
    どうぞよろしくお願いいたします。

    理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
    Certified Mulligan Practitioner(CMP) / マリガンコンセプト認定理学療法士
    LSVT®BIG認定セラピスト BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
    津田 泰志

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