変形性股関節症と日常生活で避けたい動きについて

変形性股関節症と日常生活で避けたい動きについて

―「動かさない」ではなく、「負担のかけ方を変える」ことが大切です―

変形性股関節症をお持ちの方やご家族から、次のようなご相談を受けることがあります。

・床の物を取る時に股関節が痛い
・靴下をはく、足の爪を切る動作がつらい
・立ち上がる時や方向転換で股関節に痛みが出る
・階段や長い距離の歩行のあとに痛みが強くなる

このように、変形性股関節症をお持ちの方では、日常生活の何気ない動作の中で股関節の痛みや動かしにくさを感じることがあります。ただし、単純に「この動きは絶対にしてはいけない」と考えるのではなく、どのような動き方や負担のかけ方で症状が強くなりやすいのかを整理することが大切です。現在の国際的なガイドラインでも、変形性関節症の管理では、症状と生活機能に合わせた運動療法、自己管理、必要に応じた体重管理が中核とされており、一律の禁止よりも個別調整が重視されています。

一律に「避けるべき動き」があるわけではありません

まず大切なのは、変形性股関節症では全員に共通する禁止動作あるわけではない、ということです。股関節の変化の程度、可動域、筋力、歩き方、体重のかけ方、生活環境によって、つらくなる動作は一人ひとり異なります。運動や活動はその人の状態に合わせて調整し、反応を見ながら修正・継続することが重要であると考えられています。また、運動を始めた時に多少の痛みや違和感が出ても、直ちに関節を傷めているとは限らず、長期的には痛みや生活機能の改善につながることが示されています。

日常生活で特に注意したい動きとは

では、どのような動きに注意が必要なのでしょうか。避けたいのは「動きそのもの」よりも、「股関節に強い負担がかかりやすい条件で、痛みを我慢して繰り返すこと」です。股関節にかかる力は、歩くだけでなく、立ち座り、しゃがみ込み、方向転換、ランジのような動作でも変化し、動作によっては歩行時より大きくなることがあります。こうしたことを踏まえると、変形性股関節症の方で日常生活の中で注意したいのは、次のような場面です。

・深くしゃがみ込む、低い椅子や床から立ち上がる
・足先を床につけたまま、体だけをひねって向きを変える
・重い荷物を持ったまま歩く、振り向く、階段を使う
・痛みが強い日に、坂道や階段、長距離歩行を休憩なく行う
・痛みが出ているのに我慢して続ける

特に、深い股関節屈曲やひねりを伴う動き、片脚に長く体重が乗る動きは、症状を強めるきっかけになることがあります。また、痛みがある日に無理をすると、関節そのものだけでなく、周囲の筋肉が過剰に緊張し、さらに動きづらくなることがあります。 関節内の炎症が疑われる痛みの強い時期には、活動量や運動強度をいったん調整し、痛みを我慢して続けないことが勧められています。

「避ける」のではなく「工夫する」ことが大切です

たとえば、床の物を取る時は股関節だけを大きく曲げるのではなく、膝も使って身体全体を近づける、低い椅子より少し高めの椅子を使う、立ち上がる時は肘掛けや手すりを使う、方向転換は足を小さく踏み替えて行う、といった工夫で股関節への負担を減らせることがあります。重い荷物は分けて持つ、買い物ではカートを使う、長く歩く日は最初から休憩を入れるなども有効です。必要に応じて杖やノルディックウォーキングのポールなどの歩行補助具を使うことも、股関節への荷重を減らし、歩行時の安定性を高める助けになります。

ただ安静にしていればよいわけではありません

ここで重要なのは、「痛い動きがあるから、できるだけ動かない方がよい」というわけではないことです。活動を減らしすぎると、股関節周囲筋や体幹深層筋機能が低下し、かえって立つ・歩く・支えるといった基本動作が不安定になりやすくなります。先に述べた国際的なガイドラインではでは運動療法をすべての変形性関節症の方に勧めており、軽度から中等度の変形性股関節症ではリハビリテーションが痛みの軽減や機能改善に役立つ可能性が示されています。大切なのは、痛みの出にくい範囲で続けられる方法を選び、少しずつ身体の使いやすさを取り戻すことです。

フィジオセンターでの取り組み

フィジオセンターでは、変形性股関節症をお持ちの方に対して、単に「この動きは避けましょう」とお伝えするのではなく、なぜその動きで痛みが出るのかを評価することを大切にしています。股関節の可動域、股関節周囲筋の筋機能、体幹深層筋機能、片脚支持の安定性、歩行や立ち上がり、方向転換の方法などを確認し、日常生活の中で無理の少ない動き方へつなげていきます。

「立ち上がるたびに痛い」
「靴下をはくのが大変」
「階段や買い物のたびに不安がある」

そのようなお悩みがある場合は、痛みのある動作だけを見るのではなく、身体全体の使い方を含めて確認することが大切です。

まとめ

変形性股関節症で日常生活の中で避けたいのは、特定の動きを一律に禁止することではなく、股関節に強い負担がかかりやすい動き方を、痛みを我慢して繰り返すことです。

・深くしゃがむ、低い場所から立ち上がる、ひねる動作は症状を強めることがある
・痛みが強い日は、活動量や運動強度を調整することが大切
・杖や手すりノルディックウォーキングのポールの使用、椅子の高さ、荷物の持ち方などの工夫で負担を減らせることがある
・長期的には、運動療法と自己管理が重要である

日常生活の中で「この動きが怖い」「どこまで動いてよいのかわからない」と感じる場合は、自己判断で我慢を続けるのではなく、専門的な評価を受けながら、ご自身の状態に合った動き方を身につけていくことをおすすめします。ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。どうぞよろしくお願いいたします。

理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP)/マリガンコンセプト認定理学療法士
日本体外衝撃波医学会認定 運動器体外衝撃波治療施術者
LSVT® BIG認定セラピスト BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
フットコントロールトレーナー LICENSE B
津田 泰志

フィジオセンター
TEL:03-6402-7755

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