―「タクシーに乗車時に股関節が痛い」は、乗り方や身体の使い方、座る位置の工夫で負担を調整できることがあります―
変形性股関節症をお持ちの方から、タクシーに乗る時の動作について次のようなご相談を受けることがあります。
・タクシーのシートが低くて座る時に股関節が痛い
・車内に足を入れる時に股関節の前側や鼠径部がつらくなる
・深く腰かけると立ち上がる時に力が入りにくい
・降車時に片脚へ体重をかけると痛みが出る
・座席から立ち上がった直後に歩きにくい
・急いで乗り降りしようとして股関節に不安を感じる
・どのように乗れば股関節に負担が少ないのかわからない
このようなお悩みがあると、「タクシーに乗るのが怖い」「外出先でうまく降りられなかったらどうしよう」と不安になる方もいらっしゃいます。
タクシーの後部座席は、椅子に比べて座面が低いことが多く、乗車時には股関節を深く曲げる必要があります。また、車内という限られた空間で身体の向きを変えながら座るため、股関節だけでなく、腰部、膝関節にも負担がかかりやすい動作です。
変形性股関節症でタクシーの乗り降りが難しくなる理由
変形性股関節症では、股関節の痛み、関節可動域制限、股関節周囲筋の筋機能低下、骨盤や腰椎の柔軟性の低下などにより、低いシートへの乗り降りが難しくなることがあります。
特に、股関節を深く曲げる動きや、足を車内に入れる時の股関節の回旋動作では、股関節前面や鼠径部に痛みが出やすい場合があります。また、座面が低いことで股関節の屈曲角度が大きく求められるため、立ち上がる時に股関節や膝関節へ大きな力が必要になることもあります。
さらに、タクシーでは周囲の交通状況や運転手さんへの気遣いから、少し急いで乗り降りしようとすることがあります。しかし、急いで動作を行うと、片脚に体重が集中したり、身体をひねった状態で踏ん張ったりしやすく、股関節への負担が大きくなる可能性があります。
一律に「この乗り方が正しい」とは言えません
変形性股関節症だからといって、すべての方に同じタクシーの乗り方が適しているわけではありません。
股関節の痛みの部位、関節可動域制限の程度、膝関節や腰部の状態、バランス能力、杖の使用の有無などによって、負担の少ない方法は異なります。
たとえば、股関節を曲げる動作が苦手な方では、低いシートに深く座ることで痛みが出やすいことがあります。一方で、膝関節に痛みがある方では、立ち上がる時に膝へ負担が集中しないよう、手の支えや身体の向きを工夫する必要があります。
そのため、タクシーの乗り降りでは、「痛みを我慢して一気に座る」「勢いで立ち上がる」のではなく、ご自身の身体に合った動作を確認していくことが重要です。
タクシーに乗る時の工夫
変形性股関節症の方がタクシーに乗る際には、次のような工夫が役立つことがあります。
・まず座席にお尻をつけてから、両脚をそろえて車内に入れる
・股関節を深く曲げすぎないよう、浅めに腰かけてから姿勢を整える
・身体をひねりながら脚だけを入れようとしない
・ドア枠や座席を手で支えながら、ゆっくり身体の向きを変える
・痛みがある側の脚を無理に大きく持ち上げない
・必要に応じて、運転手さんに少し時間がかかることを伝える
たとえば、車に乗る時は、片脚から車内へ入ろうとするよりも、先に座席へお尻を下ろし、その後で身体の向きを変えながら両脚を車内へ入れる方法が合う場合があります。この方法では、片脚立ちの時間を短くし、股関節に体重が集中する場面を減らすことが可能です。
ただし、座面が低すぎる場合や、股関節の曲がる範囲に制限がある場合は、この方法でも痛みが出ることがあります。その場合は、座る位置を少し手前にする、手で支えながらゆっくり姿勢を変える、車種を選べる場合は座面の高い車種を選ぶなどの工夫も検討します。
タクシーから降りる時に注意したいこと
降車時は、乗車時以上に股関節へ負担がかかることがあります。低い座席から立ち上がるため、股関節や膝関節に大きな伸展力が必要になり、立ち上がった直後に痛みやふらつきを感じる方もいます。
降りる時は、まず身体をドア側に向け、両脚を車外に出してから立ち上がるようにすると、股関節をひねった状態で支える事を避けることが可能です。また、地面に足をつく位置が近すぎると立ち上がりにくくなるため、足の位置を少し前後に調整し、手で支えながらゆっくり立ち上がることが大切です。
立ち上がった後は、すぐに歩き出さず、一度姿勢を整えてから歩き始めることをおすすめします。特に長時間座っていた後や、股関節にこわばりを感じる時は、急に歩き出すことで痛みが出る場合があります。
フィジオセンターでの取り組み
フィジオセンターでは、変形性股関節症の方に対して、単に「タクシーを避けましょう」とお伝えするのではなく、実際の乗り降り動作、股関節の関節可動域、股関節周囲筋の筋機能、骨盤や体幹の使い方、膝関節や足部の状態などを評価することを大切にしています。
「タクシーに乗る時に股関節が痛い」
「低いシートから立ち上がるのが不安」
「外出時の移動手段を安全に使いたい」
このようなお悩みがある場合は、股関節の状態のみを考えるのではなく、乗る、座る、向きを変える、立ち上がる、歩き出すという一連の動作の中で、どこに負担が集中しているのかを確認することが重要です。
まとめ
変形性股関節症をお持ちの方にとって、タクシーの低いシートへの乗り降りは股関節に負担がかかりやすい動作の一つです。
・急いで乗り降りすることは避けたい
・先に座ってから足社内を入れることで負担を調整できる場合がある
・降車時は両足を車外に出してから立ち上がることが大切
・股関節、膝関節、腰部の状態によって適した方法は異なる
日常生活の中で「タクシーに乗る時に股関節が痛い」「低い座席から立ち上がるのがつらい」「外出時の移動に不安がある」と感じる場合は、我慢しながら動作を続けるのではなく、専門的な評価を受けながら、ご自身の状態に合った乗り降りの方法を確認していくことをおすすめします。
変形性股関節症をお持ちで、タクシーの乗り降りや外出時の動作についてご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。どうぞよろしくお願いいたします。
理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP)/マリガンコンセプト認定理学療法士
日本体外衝撃波医学会認定 運動器体外衝撃波治療施術者
LSVT® BIG認定セラピスト BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
フットコントロールトレーナー LICENSE B
津田 泰志
フィジオセンター
TEL:03-6402-7755