思春期特発性側弯症と関節の柔らかさには関係がある?

思春期特発性側弯症と関節の柔らかさには関係がある?

側弯症のお子さんを見ていると、「身体がとても柔らかい」「肘や膝が大きく反る」「関節の動く範囲がとても大きい」といった特徴を持つお子さんがいます。

では、このような身体の柔軟性の高さと、思春期特発性側弯症(AIS)には何らかの関係があるのでしょうか?

この疑問について、Shereらは「思春期特発性側弯症と関節過可動性との関連」を調べたシステマティックレビューを発表しています。

この研究では、それまでに発表されていた19の研究を調査し、そのうち研究の質が十分ではなかった1研究を除いた18研究について詳しく検討しています。

その結果、

・7研究では、AISと関節過可動性との間に正の関連が示された
・8研究では、明確な関連は認められなかった
・3研究では、AIS患者における関節過可動性の割合が報告された

という結果でした。

つまり、現在のところ「身体の柔軟性が高い子どもほど側弯症になりやすい」と結論づけることはできません。

しかしその一方で、このレビューの中でも比較的質の高い研究では、側弯症の子どもに関節過可動性が多くみられることが報告されています。

例えば、比較的質の高い症例対照研究では、関節過可動性が認められた割合が、

AIS群 51.4%
対照群 19.0%

と、AIS群で有意に高い結果が報告されています。

さらに、女子を対象とした別の研究でも、

AIS群 23.2%
対照群 13.4%

と、同じようにAIS群で関節過可動性が多く認められました。

もちろん、これらの結果だけから「関節が柔らかいから側弯症になる」と考えることはできません。

しかし、少なくとも側弯症のお子さんの中には、全身の関節の柔軟性が非常に高いという身体的特徴を持つお子さんが一定数存在し、その関係性については今後さらに研究する必要があると考えられています。

では、関節がとても柔らかい側弯症のお子さんは、何に気をつければよいのでしょうか?

ここで大切なのは、「身体が柔らかいこと=悪いこと」と考えないことです。

ただし、関節の動く範囲が大きい場合、その大きな可動範囲の中で身体を安定させるためには、関節の柔らかさだけに頼らず、筋肉を使って身体を支え、姿勢をコントロールすることも重要になります。

特に側弯症と診断され、さらに全身の関節の柔軟性が非常に高いお子さんの場合には、膝を反らせて立つ、片脚に体重を預ける、骨盤を大きく傾けるなど、関節の柔らかさに頼った姿勢をとっていないかを日常生活の中で見ていくことも大切です。

そのため、柔軟性の高い側弯症のお子さんでは、単に身体を「柔らかくする」ことだけを考えるのではなく、身体を安定させるための筋力や姿勢保持能力、バランス、身体のコントロール能力を育てていくことにも目を向けることが重要だと考えられます。

もちろん、「関節が柔らかいから側弯症が悪化する」と現在の研究から断定することはできません。

しかし、成長期の側弯症では脊柱の変化を継続して観察することが重要です。そこに高い関節柔軟性という身体的特徴が加わっているのであれば、日頃の姿勢や身体の使い方、そして身体を安定させるためのトレーニングにも、より目を向けていくことは大切ではないでしょうか。

大切なのは、柔らかさそのものを問題にすることではなく、

「柔らかい身体を、どのように安定して支え、コントロールできるか」

という視点を持つことです。

柔軟性が高い側弯症のお子さんへのトレーニング

シュロス法による側弯症エクササイズには、「Basic Tension(ベーシックテンション)」という考え方があり、身体に適切な緊張をつくりながら、脊柱や体幹を安定させ、姿勢を保持していくためのトレーニングを行います。

特に関節の柔軟性が非常に高いお子さんの場合、その柔軟な身体を自分の筋肉でしっかり支え、安定した姿勢をコントロールできるようにしていくことが重要になります。

フィジオセンターでは、このような身体的特徴を持つ側弯症のお子さんに対しても、一人ひとりの柔軟性や姿勢、側弯の状態を評価しながら、脊柱・体幹を安定して支えられる身体づくりを目的としたトレーニングを行っています。

「身体が柔らかく、普段から姿勢が崩れやすい」
「気をつけていても、すぐに楽な姿勢に戻ってしまう」
「側弯装具を外したときに姿勢が崩れやすい」                       「すぐに“休め“の姿勢をとってしまい、背骨が曲がってしまう」

など、側弯症のお子さんの姿勢や身体の安定性について気になることがございましたら、お気軽にご相談ください。

【参考文献】
Shere C, Clark EM. Systematic review of the association between isolated musculoskeletal hypermobility and adolescent idiopathic scoliosis. Archives of Orthopaedic and Trauma Surgery. 2023;143:3055–3076.

東京慈恵医科大学病院 E棟2階 フィジオセンター

 問い合わせ:info@physiocenter.jp

TEL:03-6402-7755

フィジオセンター
理学療法士(シュロス側弯症セラピスト:ISST) :大田

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