昨日のブログでは、変形性股関節症と変形性膝関節症との関係について解説しました。本日は、変形性股関節症と歩行時のトレードオフについて解説します。
変形性股関節症をお持ちで股関節の機能が低下した場合、歩行中の推進力を補うために膝関節や足関節が代償的に余分に働きます。この作用を『トレードオフ』と呼びます。具体的な例として、膝関節の屈曲(膝を曲げる動き)でハムストリングスの活動を高めて推進力を補います。しかし、このような代償動作が長期的に続くと、膝関節への負担が増加する事がわかっています。足関節の代償動作としては、底屈動作(つま先を下に向ける)による、下腿三頭筋の過剰な活動も、推進力を補うために利用されます。しかし、こちらも長期的にこのような活動が継続すると、足関節や足部のアーチ構造が影響を受け、偏平足などの変形に関与する可能性があります。
フィジオセンターではこのような場合、股関節の可動域制限や筋力低下の原因を特定するために、股関節の機能だけではなく立位での姿勢や体幹の深層筋の活動も含めて評価を行います。これにより、股関節機能に影響を与える全体的な要因を把握します。股関節へのアプローチとしては、可能な限り股関節の可動域制限を軽減し、必要な筋肉の機能を発揮し易くする事で、歩行時の推進力を向上させます。これにより、代償的な動きを最小限に抑えることが可能となります。
負担が増加している膝関節や足関節に対しても、適切な関節のアライメントを調整したり、より効率的に力を発揮できるように働きかけます。また、個別の筋肉に焦点を当てたエクササイズを行う場合もあります。
このように、先に述べたトレードオフの関係は変形性股関節症をお持ちになられてからの時間経過が長ければ、より大きな影響を受けやすいと考えており、股関節だけではなく全身的な関節の関係性をみていく事が重要だと考えられます。
当センターは保険外・自費でのサービス(保険外リハビリテーション・自費リハビリテーション)となるため、変形をお持ちの股関節の機能を出来るだけ発揮できるような働きかけだけではなく、影響を特に受けやすい膝関節などを含めた全身的に姿勢や動きを拝見して、どのような体の使い方を行う事でより良い動きになっていけるかを確認した上で施術・エクササイズを実施していきます。
ご興味のある方はホームページまたは、お電話にてお気軽にお問い合わせください。
どうぞよろしくお願いいたします。
理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner (CMP) /マリガンコンセプト認定理学療法士
LSVT®BIG認定セラピスト
津田 泰志