昨日のブログでは、変形性股関節症と個別性に合わせたエクササイズの選択について解説しました。本日のブログでは、変形性股関節症・変形性膝関節症と初期の運動療法の重要性について解説します。
変形性股関節症や変形性膝関節症は、高齢者の方を中心に多くの人が悩む関節疾患です。これらの変形性関節症は、歩行や立った姿勢での作業や立ち上がり動作などの日常生活に大きな影響を与え、痛みや関節のこわばりにより活動制限を引き起こします。これらの変形性関節症が進むと、最終的に人工関節置換術が必要になる場合があります。しかし、近年の研究では、適切な初期介入が人工関節全置換術の必要性を減少させる可能性が示されています。
2024年に発表されたスウェーデンの研究では、変形性関節症をお持ちの方の保存療法への反応率と、その後の人工関節全置換術の実施率との関連性が検討されました。この研究では、合計44,311人の変形性関節症をお持ちの方を対象に調査が行われました。
研究では、対象者を初期の保存療法に反応したグループと反応しなかったグループに分け、5年以内に人工関節全置換術が必要となる割合を比較しました。その結果、初期の保存療法に反応した対象者では、人工関節全置換術の実施率が有意に低下していることが明らかになりました。特に変形性関節症の対象者では、初期の保存療法に反応しなかった方と比較して手術の実施率が低く、変形性股関節症の対象者でも同様の傾向が見られました。
この事から、変形性股関節症や変形性膝関節症の診断を受けた場合に変形の影響が軽度であっても、早期から以下の内容に取り組むことの重要性が考えられます。
1つ目は変形性関節症に対する教育です。疾患の特徴や、進行予防のための生活習慣、適切な体重管理を理解してもらうことが重要です。2つ目は運動療法・エクササイズを行う事です。関節可動域を確保する事、必要な筋力トレーニング、バランスエクササイズをなどを行う事が含まれます。適切な運動の実施は変形のある関節への負担を軽減し、痛みを軽減する効果が期待できます。3つ目は物理療法の実施です。温熱療法や電気刺激療法などを活用し、固さのある筋肉をリラックスさせたり、血流を改善したりすることで症状を緩和します。4つ目は薬物療法です。医療機関を受診し医師に処方された鎮痛剤や抗炎症薬を適切に使用することで、痛みをコントロールしながらエクササイズをを進めることが可能になります。5つ目はライフスタイルの改善です。できるだけ変形のある関節に負担をかけない歩き方や姿勢の指導、体重管理の重要性を把握することが大切だと考えられてます。
フィジオセンターではこのような場合、運動療法・エクササイズを中心に実施しながら、変形性関節症の原因や痛みを管理するための方法、日常生活の注意点などをできるだけ分かりやすくご説明しながらアプローチを行い、症状の軽減を図ります。
当センターは保険外・自費でのサービス(保険外リハビリテーション・自費リハビリテーション)となるため、変形をお持ちの股関節・膝関節の機能だけではなく、全身的に変形をお持ちの股関節との関係をみながら、股関節の機能をを出来るだけ発揮できるような働きかけを行い、施術・コンディショニングを実施しています。
ご興味のある方はホームページまたは、お電話にてお気軽にお問い合わせください。
どうぞよろしくお願いいたします。
理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner (CMP) /マリガンコンセプト認定理学療法士
LSVT®BIG認定セラピスト
津田 泰志