本日のブログでは、変形性股関節症をお持ちの方における体幹代償運動が、身体機能にどのような影響を及ぼすかを検証した研究をご紹介します。
変形性股関節症は、関節の変形の進行に伴い、痛みや可動域の制限を引き起こす進行性の疾患です。歩行や日常生活動作に支障をきたすことで、生活の質が低下するとされています。痛みの回避や関節可動域制限の影響により、歩行字には、体幹の側方傾斜(横向き)や骨盤の後方回旋といった代償運動が多くみられますが、これが身体機能に及ぼす具体的な影響については十分に解明されていません。
本日ご紹介する研究では、慣性計測ユニットを用いて体幹代償運動を測定し、身体機能や筋力などの関連性を評価しました。対象者は35名の変形性股関節症患者で、6分間歩行テスト(6分間で都の程度の距離を歩く事ができるかを測定する検査)中の体幹動揺を測定しました。また、膝伸展・屈曲および股関節外転筋力をハンドヘルドダイナモメーターで計測しました。
結果として、体幹の側方傾斜が大きいほど、6分間歩行テストでの歩行距離が短くなることが示されました。)これは、股関節の痛みや関節可動域制限の影響を受けた、代償運動が歩行能力の低下と関連していることを示唆しています。また、股関節外転筋力が弱いほど、体幹の側方および矢状面での代償運動が増加する傾向が見られました。これは、筋力低下が体幹の安定性に影響を及ぼし、代償運動を助長する可能性を示唆します。
加えて、6分間歩行試験の最初の1分間と最後の1分間を比較すると、最後の1分間で体幹の側方傾斜が有意に増加していました。これは、連続歩行距離の延長に伴い、代償運動を悪化させる可能性を示しています。
フィジオセンターでは、歩く際の代償動作が確認できた場合、まずその起こっている代償動作が変形のある股関節にとって負担を軽減するものなのか、反対に股関節への負担をより増加させてしまう可能性の高い動きなのかを確認します。具体的には歩行の際に股関節の支える面積でる臼蓋被覆が増加するものに関しては、股関節の負担が少なくなる可能性があり、反対に臼蓋被覆が減少して体重を支える動きは股関節に余分な負荷をかけている可能性が高いと考えられます。
当センターでは、保険外・自費でのリハビリテーションサービスを提供しております。や変形性股関節症の診断後に医療機関での外来リハビリテーションが処方・実施されていない方、もしくはリハビリテーションが算定日数制限のため終了された方々に向け、その方の歩行の特徴や立位姿勢、特にお困りである動きなどを確認して、変形をお持ちの股関節に対する施術・コンディショニングをご提案しています。
ご興味のある方は、ホームページまたはお電話にてお気軽にお問い合わせください。
どうぞよろしくお願いいたします。
理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP) / マリガンコンセプト認定理学療法士
LSVT®BIG認定セラピスト
津田 泰志