過去のブログでは、変形性股関節症と歩行の機能に与える影響について複数解説してきました。本日は、少し視点を変えて、軽度~中等度の変形性股関節症をお持ちの方々について、歩行時の股関節伸展制限と解剖学的な特徴との関連性を調査した研究を解説します。
ご紹介する研究では66名の被験者を対象に、X線およびMRIによる股関節の評価と三次元動作解析装置を用いた歩行解析を実施しました。被験者は、X線上で変形性股関節症と診断されたグループと、健常なコントロールグループに分けられました。
研究の結果では、変形性股関節症群では、最大股関節伸展角度が有意に低下(約3°の差)しており、逆に股関節屈曲角度は有意に増加していました。またMRIによる股関節の比較では、股関節後方および下方の軟骨損傷が、股関節伸展制限と関連している事が確認できました。加えて、痛みの程度や日常生活動作(ADL)への制限も、股関節の可動域制限と関連していることが報告されています。
この研究結果から、変形性股関節症の早期段階でも、歩行時の股関節伸展制限が明確に観察されることがわかります。また、股関節の後方および下方の軟骨損傷が、伸展制限の重要な要因であることが示唆されました。
フィジオセンターでは、クライアントの方の歩行のフォームを確認して、股関節の伸展制限が確認された場合に、その動作が股関節の構造上の影響によるものなのか、二次的に筋肉が短縮してしまう事や他の軟部組織の固さにより股関節の伸展制限が発生しているのかを可能な限り確認して施術・コンディショニングを進めています。
フィジオセンターでは変形性股関節症の早期介入として、歩行時の股関節伸展制限の評価は非常に重要と考えています。股関節の可動域を早期か維持する事や体幹・股関節のインナーマッスルの機能を高める事で、症状の進行を抑えて、生活の質を維持していく事は大切です。ご自身の歩行のフォームに不安を感じる方やはぜひお気軽にご相談ください。当センターでは、保険外・自費でのリハビリテーションサービスを提供しております。変形性股関節症の診断後に医療機関での外来リハビリテーションが処方・実施されていない方、もしくはリハビリテーションが算定日数制限のため終了された方々に向け、その方の歩行の特徴や立位姿勢、特にお困りである動きなどを確認して、変形をお持ちの股関節に対する施術・コンディショニングをご提案しています。
ご興味のある方は、ホームページまたはお電話にてお気軽にお問い合わせください。
どうぞよろしくお願いいたします。
理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP) / マリガンコンセプト認定理学療法士
LSVT®BIG認定セラピスト
津田 泰志