変形性股関節症をお持ちの方から、「股関節が鳴る」とのご相談を頂くとがあります。関節が鳴る音は、クリック音やゴリゴリとした摩擦音など様々な種類があり、不安に感じる方も多いかもしれません。今回は、変形性股関節症における関節から音の鳴る原因と、その対策について解説します。
股関節で音が鳴る原因としては、主に以下の4つが挙げられます。
1つ目は、過去のブログでも何度かご紹介している関節唇損傷です。関節唇は、股関節の臼蓋(寛骨臼)を取り囲む線維軟骨で、関節の安定性を高める大切な役割を持っています。変形性股関節症の進行と共に関節唇に損傷が生じると、股関節の運動時に「クリック音」が発生することがあります。
2つ目は、骨棘の形成です。変形性股関節症では、骨棘(骨のとげ)が関節付近形成されることがあります。股関節関節運動時にこれらの骨棘が接触することで、「ゴリゴリ」とした摩擦音が発生することがあります。
3つ目は、筋は腱のスナップ現象です。股関節周囲の筋や腱が骨の出っ張り(大転子や寛骨臼の縁)を乗り越える際に「パチン」という弾くような音が鳴ることがあります。特に大腿筋膜張筋や腸腰筋が関与するスナッピングヒップ症候群(Snapping Hip Syndrome)は、股関節屈曲・伸展時に音が発生しやすく、痛みを伴う場合があり、注意が必要です。
4つ目は、滑液の気泡破裂です。関節を動かした際に「ポキッ」という音がする場合、これは関節液内の気泡が破裂する現象(キャビテーション)によるものです。これは痛みを伴わない限り、通常は問題ありません。
全体的な注意点としては、変形性股関節症の進行に伴い、関節の安定性が低下して頻繁に音が鳴るようになる場合は、構造的に股関節が体重を支えにくい状況になっている可能性があり注意が必要です。
フィジオセンターではこのような場合、変形性股関節症の進行に伴う関節唇損傷をお持ちの場合、股関節周囲の筋バランスを評価し機能が低下しているインナーマッスルの機能に働きかける事で、関節が安定した位置で動く事ができるようにサポートを行います。筋や腱のスナップ現象が原因と考えられる場合、特に腸腰筋や大腿筋膜張筋の柔軟性を高めることが大切である事が多いため、適切なストレッチやリリースを行います。
当センターでは変形性股関節症をお持ちの方や、股関節にクリック音や摩擦音などの症状をお持ちの方で、医療機関での外来リハビリテーションが処方されていない方、また医療保険での算定日数の影響により外来リハビリテーションが終了されている方、外来リハビリテーションと並行してリハビリテーションの実施をご希望される方に対して、股関節の機能を最大限発揮できる体づくりのために、包括的なサポートを行っております。
ご興味のある方は、ホームページまたはお電話にてお気軽にお問い合わせください。
どうぞよろしくお願いいたします。
理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP) / マリガンコンセプト認定理学療法士
LSVT®BIG認定セラピスト
津田 泰志