変形性股関節症をお持ちの方から『天気が悪い日に股関節の痛みが増すのは何故か?』というご質問を頂く事があります。実際に、多くのクライアントの方が気圧や湿度の変化に伴って痛みが増すことを経験されていますが、そのメカニズムについてはまだ完全には解明されていません。今回は、天候と股関節痛の関係について解説します。
天候の変化が関節痛に影響を与えるメカニズムとして、以下の3つの要因が考えられています。以下の内容はあくまでも、股関節に限定した内容ではなく、関節全般に与える影響を指したものですが、前提として変形性股関節症をお持ちの方の場合は、関節に炎症やメカニカルストレスが加わりやすいため、以下の影響を他の関節よりも強く受ける事が関連していると考えています。
1つ目は、気圧の低下による関節内圧の変化です。気圧が低下すると、関節内圧が上昇し、関節内の受容器が刺激されることで痛みを感じやすくなると考えられています。
2つ目は、気温と湿度の変化による筋肉・関節の影響です。気温が低下した環境(特に10度以下)では、筋肉や関節包の柔軟性が低下し、痛みを感じやすくなります。また、湿度が高いと関節内の炎症が促進される可能性があります。
3つ目は、交感神経の活性化による痛みの増強です。天候の変化は、自律神経系にも影響を及ぼします。特に低気圧の際には交感神経が過剰に活性化し、血流の低下や筋肉の余分な固さを引き起こし、痛みを増強させる可能性があります。
天候自体は私たちが変化させられるものではないため、フィジオセンターでは以下の提案を行う事があります。
1つは、動き出す前の簡単な準備体操です。天候が悪く、寒い環境では筋肉が硬くなりやすいため、固くなり易い筋肉のストレッチや軽い運動を行うことで血流を改善し、痛みを緩和する事を図ります。
2つ目は、防寒対策をしっかり行う事です。リハビリテーション関係の医学論文ではほとんど述べられないですが、東洋医学の書籍や論文の中では、特に足元を冷やさない事を提唱されている物が多くあります。関節を冷やさないために、温かい服装を心掛け、特に股関節周囲を保温することが重要です。足を冷やしにくい靴下やカイロを使用する事も有効な場合があります。
3つめは、自律神経を整える事です。気圧の変化により交感神経が過剰に働くため、深呼吸やリラクゼーションを取り入れて副交感神経の機能をサポートする事が大切です。呼吸をゆっくり行う事や睡眠時間を確保する事は重要です。
当センターでは変形性股関節症をお持ちの方で、医療機関での外来リハビリテーションが処方されていない方、また医療保険での算定日数の影響により外来リハビリテーションが終了されている方、外来リハビリテーションと並行してリハビリテーションの実施をご希望される方に対して、股関節の機能を最大限発揮できる体づくりのために、包括的なサポートを行っております。
ご興味のある方は、ホームページまたはお電話にてお気軽にお問い合わせください。
どうぞよろしくお願いいたします。
理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP) / マリガンコンセプト認定理学療法士
LSVT®BIG認定セラピスト
津田 泰志