過去のブログでは、変形性股関節症をお持ちの方々の研究で、座っている時間が長すぎる場合は同程度の変形をお持ちでも、より痛みが強い傾向がある事を解説しました。本日のブログでは、変形性股関節症とデスクワークの関係について、股関節の負担を軽減するための方法も含めて解説します。
変形性股関節症とデスクワークの関係については、以下の点に注意が必要です。
1つ目は、長時間の座位と股関節屈曲筋の短縮(筋肉が短くなる事)です。デスクワークにより、長時間座った状態を続けると、股関節周囲の筋肉に影響が及びます。特に、股関節屈曲筋(腸腰筋、大腿直筋など)が短縮しやすくなります。これは、デスクワーク中に股関節が常に屈曲位にあり、屈曲筋が短縮した状態で固定されるためです。このような状態が慢性化すると、股関節の可動域が制限され、立ち上がりや歩行時に痛みや違和感を引き起こすことがあります。
2つ目は、デスクワークによりと身体活動量が低下する事です。長時間のデスクワークにより、身体活動量の低下を招き、変形性股関節症の進行を加速させる要因となる可能性があります。特に、座位時間が長いと、股関節周囲の筋力低下や柔軟性の低下が生じ、関節への負担が増します。
3つ目は、股関節周辺の循環不全の可能性です。長時間、股関節が屈曲位におかれる事で鼠径部を中心とした組織に循環不全が起こる可能性があります。
これらの悪影響を予防するために、フィジオセンターでは以下の内容を提案しています。
1つ目は、デスクワークに中にも定期的なストレッチと運動を取り入れる事です。デスクにタイマーを置き、30分毎にアラームが鳴るように設定します。アラーム事に一度は立ち上がり、股関節周囲の筋肉を伸ばすストレッチを行う事や、少し屋内を歩くなど体を動かく習慣をつける事で、筋肉の短縮を予防します。
2つ目は、環境面の調整です。椅子の高さを調整し、膝と股関節が90度になるように座る事や、足裏が床につくようにフットレストを活用する事、長時間座る場合はクッションを使用し、脊柱の生理的な湾曲を保ち股関節への圧力を軽減することなどが大切です。状況によっては、スタンディングデスクの使用も1つの方法かと考えられます。
当センターでは変形性股関節症をお持ちの方で、医療機関での外来リハビリテーションが処方されていない方、また医療保険での算定日数の影響により外来リハビリテーションが終了されている方、外来リハビリテーションと並行してリハビリテーションの実施をご希望される方に対して、股関節への負担を出来るだけ軽減するための、包括的なサポートを行っております。
ご興味のある方は、ホームページまたはお電話にてお気軽にお問い合わせください。
どうぞよろしくお願いいたします。
理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP) / マリガンコンセプト認定理学療法士
LSVT®BIG認定セラピスト
津田 泰志