本日は当センターをご利用頂く、クライアント方からご質問を頂く事の多い、人工股関節全置換術(THA)後のバランス機能や歩行機能について解説します。
人工股関節全置換術(THA)は、2007年に海外論文の中で、『operation of the century(世紀の手術)』と呼ばれる程、治療成績が安定しており、近年は使用される関節面の素材の発展により以前より経年劣化が起こりにくい事がわかっています。手術により股関節の可動域が改善し、痛みが軽減する効果がありますが。その一方で運動機能としての注意点としては、術後のバランス能力の低下が報告されています。これは、術前の筋力低下、手術による組織損傷、および固有受容感覚の変化が影響していると考えられています。特に、片脚立位時の不安定性や歩行時の左右バランスの崩れが問題となり、転倒リスクについては術後も残存する可能性が指摘されています。
海外のシステマティックレビューでは、以下の内容が報告されています。
人工股関節全置換術(THA)後の方々を対象に、運動療法を行う事がバランス機能と歩行に与える影響を分析した内容となります。その結果、歩行の機能に関しては、3週間~4か月の間で改善が見られました。バランス機能に関しては3週間~4か月の期間に加えて、7か月以降も機能が改善された事が報告されています。
現在、人工股関節全置換術(THA)の術式などの論文や書籍を確認すると、極力組織に対する侵襲(術創)などを小さくする事にフォーカスが向けられており、術式によっては筋肉を切離せずに手術が行われる場合が増えているため手術を受けられる患者様にとってメリットが増えているようです。そのため、術後の入院期間が短期間である事や、制度上の問題で外来でのリハビリテーションの実施が難しいデメリットも想定されます。
当センターでは人工股関節全置換術(THA)後の方で、医療機関での外来リハビリテーションが処方されていない方、また医療保険での算定日数の影響により外来リハビリテーションが終了されている方、外来リハビリテーションと並行してリハビリテーションの実施をご希望される方に対して、手術後の股関節への機能を効率良く発揮するために、オーダーメイドの施術・コンディショニングを行っています。
ご興味のある方は、ホームページまたはお電話にてお気軽にお問い合わせください。
どうぞよろしくお願いいたします。
理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP) / マリガンコンセプト認定理学療法士
LSVT®BIG認定セラピスト
津田 泰志