今回のブログでは、変形性股関節症をお持ちの方の場合に、関わりの深い脊柱を構成する頸椎・胸椎・腰椎のとの関係について解説します。
□変形性股関節症をお持ちの方が全身的視点を持つ事の重要性
股関節は、体幹と下肢をつなぐ荷重関節として、立位保持や歩行、階段昇降などの日常動作に大きく関与しています。そのため、股関節の不具合が局所の問題にとどまらず、全身の姿勢や運動パターンに影響を与えることがしばしば確認されます。
特に、股関節の関節可動域制限などの不具合を補う形で、脊柱の可動性や安定性に異常が生じることが多く、それが二次的な痛みや動作不良の原因になることがあります。したがって、頸椎・胸椎・腰椎を含む脊柱全体のアプローチが、より効果的なアプローチをの鍵となります。
□頸椎と股関節の関連性
頸椎は主に頭部の支持と動きに関与し、股関節と直接の運動連鎖は少ないものの、姿勢制御の観点では見逃せない部位です。変形性股関節症では、股関節の痛みを回避するために体幹前傾姿勢を取ることが多く、これにより視線の水平性を保つために頸椎伸展位が慢性的に続く傾向があります。
この状態が続くと、後頸部筋群(僧帽筋上部線維、頭半棘筋など)の過緊張を招き、頭痛や頸部痛、肩こりの原因になります。また、高齢者では頸椎の関節可動域低下がバランス保持能力を妨げ、転倒リスクの増大にもつながります。よって、頸椎の柔軟性保持と首の周囲筋緊張の管理は、間接的に股関節機能に関わります。
□胸椎の可動性と荷重分散
胸椎は12個の椎骨から構成され、肋骨と連動することで胸郭の可動性を担います。変形性股関節症をお持ちの方では、加齢や不良姿勢により胸椎の伸展・回旋可動域が制限されていることが多く、これが骨盤のアライメントや股関節の可動性に影響を与えます。
たとえば、歩行時に必要な股関節伸展運動を胸椎伸展で補えない場合、骨盤は過剰に前傾位となり、腰椎への過負荷や股関節周囲筋の過活動を引き起こします。さらに、胸椎の回旋制限は上肢と下肢の協調運動を阻害し、全身的な運動効率を低下させる要因ともなります。
胸椎周辺の可動域の確保や柔軟性の向上は、歩行パターンの改善や股関節への過剰負荷の軽減につながるため、施術・コンディショニングにおいて重要です。
□ 腰椎と股関節の密接な関係
腰椎は5つの椎骨からなり、股関節と直接的に連動する最も重要な部位のひとつです。変形性股関節症をお持ちの方に多い典型的な代償パターンとして、股関節可動域制限(特に伸展制限)を補うための腰椎過伸展が挙げられます。
このような代償動作が継続すると、腰椎椎間関節や椎間板に過度のストレスがかかり、腰痛や脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニアなどの二次的障害を招くリスクが高まります。さらに、体幹の安定性を保つ腹横筋や多裂筋といった深部筋の機能低下も併発しやすく、結果として股関節周囲筋の働きにも悪影響を及ぼします。
そのため、腰椎の安定性と股関節の関節可動域のバランスを整えるトレーニング、例としては体幹の深層筋エクササイズや股関節の固くなり易い筋肉のストレッチやリリースは、変形性股関節症の根本的な改善において大切です。
当センターでは変形性股関節症をお持ちの方で、外来リハビリテーションが処方されていない方、また医療保険での算定日数の影響により外来リハビリテーションが終了されている方、外来リハビリテーションと並行してリハビリテーションの実施をご希望される方に対して、変形性股関節症をお持ちの股関節に対して最適と考えられる施術・コンディショニングをご提案しています。
ご興味のある方は、ホームページまたはお電話にてお気軽にお問い合わせください。
どうぞよろしくお願いいたします。
理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP) / マリガンコンセプト認定理学療法士
LSVT®BIG認定セラピスト
津田 泰志