思春期特発性側弯症に対するシェノー装具の効果について

思春期特発性側弯症に対するシェノー装具の効果について

Eur Spine J: 2013 Sep 17;22(Suppl 6):815–822. doi: 10.1007/s00586-013-3020-1

Chêneau brace for adolescent idiopathic scoliosis: long-term results. Can it prevent surgery?

【はじめに】

思春期特発性側弯症(AIS)は、思春期に発症する原因不明の脊椎のゆがみです。特に女子に多く見られ、放置すると進行して将来的に痛みや姿勢の問題、場合によっては呼吸機能に影響を及ぼす可能性もあります。進行のリスクがある場合、装具治療が選択されます。

本日は、シェノー装具という装具の効果について、イタリアで行われた長期研究の結果をご紹介いたします。

【研究の概要】

この研究では、AISと診断された女子48名を対象に、シェノー装具による保存的治療(手術を行わずに行う治療)の効果を検討しました。装具の装着時間は1日23時間とし、理学療法(運動療法)と併用して治療を継続しました。

追跡期間は平均5年5ヶ月と非常に長く、装具の効果がどの程度持続するかも評価されています。

【結果の要点:背骨のゆがみ(コブ角)の変化】

測定時期平均カーブ角度(コブ角)
治療前約27度
装具装着時約7.6度(矯正率72%)
治療終了時約8.5度(矯正率69%)
最終追跡時約11.0度(矯正率59.3%)

➡ 装具の装着によって大きく改善し、治療終了後も効果が維持されていたことが示されました。

手術を行った患者】

ゼロ人(0%)でした。
つまり、全員が手術をせずに済んだという結果です。

【追加でわかったこと】

*胸腰椎のカーブ(胸と腰の間のゆがみ)**が最も良好な矯正結果を示しました(矯正率61.7%)。

  • 初潮前に治療を開始した患者は、より高い矯正効果が見られる傾向がありました。
  • 装具装着だけでなく、毎日の理学療法との併用が効果に大きく関係していました。
  • 装具はすべて経験豊富な技師が手作業で製作したものであり、質の高い治療環境が整えられていました。

【専門家としての見解】

この研究は、思春期特発性側弯症において、適切な時期に適切な装具治療を行えば、手術を回避できる可能性が高いことを示しています。特に、装具の装着時間、治療への遵守、理学療法の継続が良好な結果に繋がっています。

ただし、すべての症例に同じような効果があるとは限らず、装具の設計や装着指導、患者さんの協力度合いなどが結果に影響する点には留意が必要です。

【まとめ】

  • シェノー装具は、長期的にみても有効な保存的治療法であることが示されています。
  • 早期に適切な治療を開始することで、手術を避けられる可能性が十分にあります
  • 医療チーム(医師・理学療法士・装具士)と連携し、患者さんご自身・ご家族の協力を得ながら治療を進めることが非常に大切です。

シェノー側弯装具は、装着しやすいだけでなく、改善効果も高いことが報告されています。当センターでだ、シュロス側弯体操との組み合わせをお勧めしております。お子様の側弯症治療でお悩みのご父兄様のご相談をお受けしております。

東京慈恵医科大学病院E棟2階 フィジオセンター

お問い合わせ先:info@physiocenter.jp

電話:03-6402-7755

理学療法士:大田

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