変形性股関節症と体幹アライメントの関係について

変形性股関節症と体幹アライメントの関係について

過去のブログでも普段の姿勢が変形性股関節症に与える影響について解説してきました。本日のブログでは変形性股関節症の進行に影響を与えている要因として、体幹の矢状面(真横から見た)アライメントが注目されています。今回は、2021年に発表された国内の研究を基に、矢状面アライメントと股関節への負荷の関係について解説します。

矢状面アライメントとは?

矢状面アライメントとは、側面から見た際の脊椎と骨盤、下肢の整列状態を指します。特に、高齢者や脊柱の変形をお持ちの方では、姿勢の変化が股関節に影響を与える可能性が指摘されています。

成人脊柱変形を持つ女性20名(平均年齢78.3歳)を対象に、立位姿勢のX線画像を用いて矢状面アライメントを評価しました。さらに、「Anybody Modeling System」という筋骨格シミュレーションソフトを活用し、股関節に対する接触力(股関節に加わる力)を計算しました。

研究では、対象者を SVA 50mm以下の群(Low SVA群) と SVA 50mm超の群(High SVA群) に分け、各群のHCFを比較しました。このSVAとは、仙骨上縁から引いた水平線と第7頚椎から引いた垂線との距離を示しており、脊柱のアライメントが悪化するとSVAが長くなり、体が前に傾いていることを示します。簡単に述べるとSVAの値が大きいと頭部が前に出ていて、猫背を呈しているという事になります。

結果としては、このSVAが大きいグループが股関節に加わる接触力(股関節に加わる力)が増加している事がわかりました。

このような結果から股関節への負担を軽減するためには、変形をお持ちの股関節の機能にアプローチを行いつつ、姿勢の修正も併せて実施する事が重要であると考えられます。頭部が前方にある猫背の姿勢自体が股関節に余分なストレスや負担を増加させている要因となるためです。

フィジオセンターではこのような場合、骨盤帯のマルアライメントの原因となっている筋肉の固さ(過剰な緊張)・筋肉の作用の低下(緊張の低下)を確認し、過剰な固さのある筋肉に対してはストレッチやリリースを行い、筋肉の作用が低下している筋肉に対してはエクササイズを行い、骨盤帯のマルアライメントを修正します。その後に新ためて体幹や股関節のインナーマッスルの機能を高める事で、目的となる動作の回旋・修正に繋がるアプローチを行います。

当センターでは変形性股関節症をお持ちの方で、外来リハビリテーションが処方されていない方、また医療保険での算定日数の影響により外来リハビリテーションが終了されている方、外来リハビリテーションと並行してリハビリテーションの実施をご希望される方に対して、変形性股関節症をお持ちの股関節に対して最適と考えられる施術・コンディショニングをご提案しています。

ご興味のある方は、ホームページまたはお電話にてお気軽にお問い合わせください。
どうぞよろしくお願いいたします。

理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP) / マリガンコンセプト認定理学療法士
LSVT®BIG認定セラピスト
津田 泰志

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