フィジオセンターでは、変形性股関節症・変形性膝関節症をお持ちの方々に対して、安全かつ効果的な運動指導を行目的で、お役に立てそうな情報をブログで掲載しています。今回のブログでは、「歩行速度の変化が関節機能にどのように影響を与えるか」を検討した研究(Huら, 2021)をご紹介します。
□研究の概要
本研究では、健常成人6名を対象に、3つの異なる歩行速度(速い・通常・遅い)での歩行中に、各関節(腰部・股関節・膝関節・足関節)の機械的エネルギーの生成と機能を計測・解析しました。特に、立脚期をの4つに分類し、それぞれの局面における関節機能の変化を検討しています。
□研究の結果
その結果、股関節と足関節が歩行速度の変化に最も影響を受けやすい関節であることが明らかになりました。速度が速くなると、股関節は立脚の早期のタイミングにエネルギーの吸収を増加し、蹴り出しのタイミングにではエネルギー生成を強化していました。また足関節も同様に、衝突時の衝撃を吸収しつつ、蹴り出し時に推進力を増大させるような適応を示していました。
一方で、膝関節と腰部は、速度変化に対して大きな関節機能の変化を示さず、特に膝関節は姿勢を保つような役割に終始していたことも特徴です。
□フィジオセンターでの臨床場面での応用
1つ目は、「股関節のモーター機能」に着目した介入です。速度が速くなるほど股関節はより多くのエネルギーを生成し、骨盤を前方に押し出す役割を担います。したがって、変形性股関節症をお持ちの方においては、股関節伸展筋群の強化や、骨盤・大腿部の協調的な動作を促す運動療法が、歩行速度や推進力の改善につながる可能性があると考えます。
2つ目は、「足関節の衝撃吸収・推進力の役割」に対するアプローチです。足関節は、歩行初期の衝撃吸収と、終期の蹴り出しにおいて重要なエネルギー調整機能を担います。下腿三頭筋の柔軟性保持や足関節底屈筋力の向上は、推進力の向上と共に、過去のブログでも繰り返し述べている股関節への負担軽減にもつながる重要なポイントだと考えます。
□まとめ
本研究は健常成人を対象とした少数の対象者を解析した研究ではありますが、歩行速度の変化に伴う股関節や足関節の機能変化を明確に示しており、変形性股関節症・変形性膝関節症をお持ちの方の運動療法において、速度変化を考慮した動作分析と筋肉に対するアプローチが極めて重要であることがわかります。
当センターでは変形性股関節症・変形性膝関節症をお持ちの方で、外来リハビリテーションが処方されていない方、また医療保険での算定日数の影響により外来リハビリテーションが終了されている方、外来リハビリテーションと並行してリハビリテーションの実施をご希望される方に対して、最適と考えられる施術・コンディショニングをご提案しています。
ご興味のある方は、ホームページまたはお電話にてお気軽にお問い合わせください。
どうぞよろしくお願いいたします。
理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP) / マリガンコンセプト認定理学療法士
LSVT®BIG認定セラピスト BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
津田 泰志