スポーツをしている成長期の中高生では、腰痛が生じた際に、「これは腰痛分離症の症状なのか、それとも筋肉の張りによるものなのか」を判別しにくい場合があります。腰椎分離症(疲労骨折)と筋膜性腰痛(筋・筋膜由来の痛み)は、どちらも腰痛を引き起こす可能性がありますが、発生の仕組みが異なるため、症状の特徴や痛みの出方に違いがあります。整形外科専門医の先生の論文の中には、2~3週間継続する腰痛は、早期の医療機関受診を勧めています。
そのような背景の中、本日のブログでは、腰椎分離症の痛みと筋膜性腰痛の痛み方の違いについて整理して解説します。
□ 腰椎分離症と筋膜性腰痛の「発生メカニズム」の違い
・ 腰椎分離症:腰椎分離症は、椎弓という骨の部分に繰り返しのストレスが加わって発生する疲労骨折です。ジャンプ・スパイク・ブリッジ姿勢などの「反る(伸展)・捻る(回旋)動き」でストレスが集中しやすく、スポーツ動作との関連が強くみられます。
・ 筋膜性腰痛:一方、筋膜性腰痛は腰部や骨盤周囲の筋・筋膜が過剰に緊張したり微小損傷を起こした状態で、疲労や姿勢の崩れ、運動中の過剰な筋活動が原因となることが多いです。骨の損傷ではないため、動作と痛みの再現性は腰椎分離症と少し異なります。
□ 痛みの特徴から見分けるポイント
1つ目は、動き方での「痛みの出方」の違いです。
腰椎分離症に多い特徴としては、腰を反る動きで痛みが強くなる事、腰を捻ったときに鋭い痛みが出る、スポーツの動作中(反る動きと捻る動きの組み合わせ)で痛みが再現される、痛みが片側に集中することが多い事が特徴です。
筋膜性腰痛に多い特徴としては、前屈(曲げる動き)や長時間の同じ姿勢で痛みが悪化する事、動き始めのこわばりだが、動くと徐々に軽くなる事、体幹を反らす動作や捻る動きでは痛みが必ずしも強くならない事が特徴です。
2つ目は、 痛みの場所の違いです。
腰椎分離症の特徴としては、腰の片側に局所的で鋭い痛みがある事、押すと(圧痛)ピンポイントに痛い部分がある事、腰部を反らせた状態で捻ると同じ部位に痛みが再現される事が特徴です。
筋膜性腰痛の特徴としては、広い範囲で張る事、重いような鈍い痛みがある事、お尻・背中・骨盤周囲にかけて広がることもある事が特徴です。
重要な事はこれらの違いがあるものの、この2つが混在している例もあるため、2~3週間継続する腰痛は、早期の医療機関受診が重要です。
□ フィジオセンターでの評価とアプローチ
フィジオセンターでは医療機関での診断結果や安静度の指示を遵守した上で、そのスポーツ選手の種目やポジション、利き手や利き足、姿勢や動きの特徴や傾向を確認し、分離症を呈している腰椎を支える多裂筋を中心としたインナーマッスルのエクササイズ、腰椎の過剰な動きの原因となる事の多い、股関節や胸椎・胸郭の柔軟性を高める事、股関節の関節可動域制限の原因に影響する足部の機能を評価し、その方に最適なオーダーメイドのエクササイズを提供しています。
□ まとめ
医療機関を受診して腰椎分離症と診断された方や、その疑いがありながらも医療機関での外来リハビリテーションが受けられない方、保険制度上リハビリが終了してしまった方、部活動と両立しながら筋バランスの見直しを含めたリハビリテーションをご希望の方は、ホームページまたはお電話にてお気軽にお問い合わせください。どうぞよろしくお願いいたします。
理学療法士/保健医療科学修士号/認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP)/LSVT® BIG 認定セラピスト
日本体外衝撃波医学会認定 運動器体外衝撃波治療施術者
BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
津田 泰志
フィジオセンター
TEL:03-6402-7755