部活動を行う中高生や、長時間の座位が続く学生・デスクワーカーの方から「猫背が気になる」「姿勢が悪いと言われる」といった相談を受けることは珍しくありません。猫背姿勢は見た目だけの問題と思われがちですが、腰椎分離症を呈する選手の姿勢を観察していると、経験上、腰椎にも悪影響を与える重要な因子として影響していると考えられます。

腰椎分離症は、椎弓部分に生じる「疲労骨折」であり、反復する腰椎伸展（反る動き)や回旋(捻る動き)が主な原因です。しかし、猫背姿勢で常に胸椎が屈曲方向に偏った状態で上半身の重さが後方に位置する場合、腰椎の下側の部分で過剰に伸展位(反る位置関係)をとる事でバランスをとることがありますが、この過剰に反った部分に分離症を呈する事があり注意が必要です。

今回のブログでは、猫背姿勢が腰椎分離症に与える影響、そのメカニズム、そしてフィジオセンターで行うアプローチについて解説します。

□猫背姿勢とは？

猫背姿勢の特徴は以下の通りです。胸椎後弯の増強、骨盤の後傾、頭部前方位などが挙げられます。この姿勢では、腰椎は本来の生理的前弯が失われ、加えて先に述べた下位の腰椎が過剰な伸展を呈する事があり、腰椎の分離部周辺にかかる力の方向が通常とは大きく異なる事があります。

腰椎分離症は、反る動きと捻る動きに影響を受ける事が報告されていますが、こちらに加えて、普段の姿勢が腰椎の安定性を低下させているケースが少なくありません。

□フィジオセンターで行う猫背姿勢と腰椎分離症へのアプローチ

１つ目は、猫背姿勢の修正です。胸椎の後弯や骨盤後傾が強い場合は、短縮しやすい大胸筋や小胸筋、ハムストリングスのリリースやストレッチを行い柔軟性を高めます。加えて働きが低下しやすい、抗重力筋(重力に対して体を起こす機能を持つ筋肉)の機能を高めるエクサイズを行い、立位姿勢を動きやすいアライメントに修正を図ります。

２つ目は、多裂筋を中心とした体幹深層筋のエクササイズの実施です。猫背を呈している選手に関しては、体幹深層筋の機能不全を合併している事が多いため、合わせて分離症を呈した腰椎の安定性を高める事、結果として重力に対して体を起こせる環境を作る事で猫背姿勢の軽減を図ります。

□まとめ

猫背姿勢は一見すると腰椎分離症と無関係のように見えますが、実際には、腰椎の過剰な動きの増大・体幹深層筋の機能低下を引き起こし、腰椎分離症の発症・遷延・再発に関わる姿勢です。

腰椎分離症と診断された方、部活中の腰痛に悩む学生、長期間治療しても改善しない方は、ぜひフィジオセンターへご相談ください。科学的根拠に基づいた評価と、あなたの身体に合わせた再発予防プログラムをご提案いたします。腰椎分離症の症状改善において、姿勢は単なる見た目の問題ではなく 腰椎分離部にかかるストレスを左右する重要な因子 です。

腰椎分離症と診断された方、部活動をしながら腰痛に悩まされている方、医療機関でのリハビリが十分に受けられずお困りの方は、ぜひフィジオセンターにご相談ください。症状の段階に合わせた評価と、科学的根拠に基づいた体幹深層筋の再教育プログラムをご提案いたします。

理学療法士／保健医療科学修士号／認定理学療法士（運動器・脳卒中）
Certified Mulligan Practitioner（CMP）／LSVT® BIG 認定セラピスト
日本体外衝撃波医学会認定 運動器体外衝撃波治療施術者
BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
津田 泰志

フィジオセンター
03-6402-7755