部活動を行う学生アスリートの方、長時間の立位や歩行が多い社会人の方、そして慢性的な腰痛をお持ちの方々「足がすぐ疲れる」「ふくらはぎをつってしまう」といった相談をお受けする事があります。
一見すると腰椎分離症と足部の筋肉は無関係のように思われがちですが床経験上、足部内在筋の機能低下が子仮説機能や体幹機能に影響し、その結果として腰椎に余分なストレスを生み出すケースを多く観察します。
腰椎分離症は反復する腰椎伸展(反る動き)や回旋(捻る動き)が主な原因とされる「疲労骨折」です。しかし、なぜ同じ競技・同じ練習量でも腰椎分離症になる選手とならない選手がいるのか。背景には足部・膝関節・股関節関節・体幹機能など、全身への影響が関わっています。
今回のブログでは、腰椎分離症と足部内在筋の関係について解説します。
□ 足部内在筋とは?
足部内在筋とは、足の中に起始と停止を持つ小さな筋群を指し、代表的なものに以下があります。
母趾外転筋、母趾内転筋、短母趾屈筋、短趾屈筋、足底方形筋、虫様筋、小趾外転筋などです。
これらの筋は、アーチの保持、足趾の細かい動き、立位・歩行時の衝撃吸収といった役割を担っています。特に縦アーチや横アーチの安定性に大きく関わり、足部の過回内や扁平足を防ぐために重要な役割を持ちます。
□ 足部内在筋の低下が腰椎に影響する理由
1つ目は足部アーチの低下が下肢のアライメントに影響を与えるためです。足部内在筋の機能が弱いと足部のアーチが十分に保てず、過回内が生じやすくなります。その結果、脛骨が内旋、股関節が内旋・内転方向に誘導されて骨盤の前傾するような影響を与える場合があります。股関節の過剰な内旋位での固定や骨盤の過剰な前傾は、腰椎の伸展(反る動き)や回旋(捻る動き)の動作のコントロールを難しくし、腰椎弓部にストレスが集中しやすい状態を招きます。
2つ目は床面接地の不安定さが腰椎や股関節へ影響を与えるためです。足部の安定性が低く、走行やジャンプ動作の際に適に衝撃吸収が難しい場合、体幹を反らせてバランスを取る代償動作が多く見られます。特にスポーツ動作全般に多い「ジャンプ動作」「ダッシュと急停止」の場面では、足部の不安定⇒股関節の過剰な筋活動⇒股関節の関節可動域制限⇒体幹での代償動作としての伸展・回旋⇒下位腰椎への圧縮ストレス増加というメカニズムが推察され、腰椎分離症の発症リスクが高まると考えています。
□ フィジオセンターで行うのアプローチ
1つ目は、足部内在筋の評価とエクササイズの実施です。まず、足部のアライメントの状態や筋機能、足趾の分離運動やアーチの保持力、荷重位での安定性を評価します。症状に応じて、ショートフットエクササイズ・母趾球または、足部外側での荷重コントロール、内在筋の賦活を目的とした徒手刺激などを行い、地面と接する「土台」としての足部機能を改善を図ります。
2つ目は、下肢アライメント(位置関係)の修正です。足部から股関節までの位置関係を確認し、症状の出現しやすい動きを観察します。特に足部機能の低下と股関節機能の低下を合併している場合は、腰椎に過剰な負担が加わり易いため実際のスポーツ動作を確認と修正を行います。
□ まとめ
足部内在筋は一見すると腰椎分離症とは関係が薄いように感じますが、実際には代償動作としての股関節や下位腰椎の過剰な活動に関与する事、下肢全体のアライメント(位置関係)など、全身の機能に影響を及ぼす重要な筋群です。
内在筋が機能不全を呈していて、足部が不安定な状態では、体幹を反らせてバランスを取る代償動作が生じやすく、それが腰椎分離症の発症・遷延・再発に関与する事があります。
腰椎分離症の再発予防やコンディショニングには、腰部だけでなく 足部の機能評価と内在筋の強化が欠かせません。
腰椎分離症と診断された方、部活動をしながら腰痛に悩まされている方、医療機関でのリハビリが十分に受けられずお困りの方は、ぜひフィジオセンターにご相談ください。症状の段階に合わせた評価と、その方に最適と考えられるエクササイズをご提案いたします。
理学療法士/保健医療科学修士号/認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP)/LSVT® BIG 認定セラピスト
日本体外衝撃波医学会認定 運動器体外衝撃波治療施術者
BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
津田 泰志
フィジオセンター
TEL:03-6402-7755