変形性股関節症をお持ちの方から、「長い距離をあるくと股関節と足指に痛みがある」「たくさん歩いた日のよるにふくらはぎ足首の筋肉が攣ってしまう」などのご質問を頂くことがあります。
股関節の症状の場合、股関節そのものだけに原因があるように思われるかもしれません。しかし、歩く・立つ・階段を上るといった動作では、足部、膝関節、股関節、骨盤、体幹の機能が協調して働きます。そのため、足のアーチの低下、いわゆる扁平足をお持ちの場合、歩き方や下肢全体の使い方を通して股関節への負担に影響することがあります。
今回のブログでは、変形性股関節症と扁平足との関係について解説します。
扁平足とはどのような状態か
扁平足とは、足の内側にある土踏まず、つまり内側縦アーチが低下している状態を指します。
内側縦アーチは、立つ・歩く・走るときに足へ加わる衝撃を吸収したり、体重を支えたりする役割があります。アーチが低下すると、足部が内側へ倒れやすくなり、後足部の外反、距骨下関節の回内、前足部の外転といった動きが強くなることがあります。多くの場合、後脛骨筋腱の機能低下や加齢、体重増加、靴の影響、長年の歩き方の癖などが関係することがあります。
足のアーチが股関節に影響する理由
足は地面と接している唯一の部分です。歩行時には、足部で受けた力が膝関節、股関節、骨盤、体幹へと伝わります。
扁平足により距骨下関節の回内が強くなると、すねの骨である脛骨が内側へ回旋しやすくなります。その影響で膝が内側へ入りやすくなったり、股関節の内旋が強くなったりすることがあります。大腿骨は股関節を構成する骨であるため、この動きが繰り返されると、股関節前面や鼠径部に負担を感じる方もいます。
ただし、扁平足があるから直接的に変形性股関節症に影響を与える、というわけではありません。変形性股関節症には、発育性股関節形成不全、加齢、体重、筋力低下、過去の外傷、生活動作、歩行量など、さまざまな要因が関係します。扁平足はその中で「歩き方や荷重のかかり方に影響しうる要素」の一つとして考えることが大切です。
変形性股関節症では歩き方が変わりやすい
変形性股関節症では、関節軟骨の変性や関節の変形により、股関節の痛み、可動域制限、筋力低下が生じることがあります。
特に歩行時には、痛みを避けるために歩幅が小さくなったり、痛い側の脚に体重をかける時間が短くなったり、体幹を左右に傾けながら歩くことがあります。このような歩き方の変化は、股関節だけでなく、膝関節や足部にも影響します。
つまり、扁平足が股関節に影響する場合もあれば、股関節の痛みをかばう歩き方が足部の使い方を変える場合もあります。どちらか一方だけを見るのではなく、足部から骨盤までを一つのつながりとして評価することが重要です。
日常生活で意識したいポイント
扁平足と股関節の負担が気になる場合は、次のような点を意識してみましょう。
・かかとが安定し、足が靴の中で大きく動かない靴を選ぶ
・靴底のすり減り方を確認する
・長時間歩いた後に股関節、膝、足裏のどこに痛みが出るか確認する
・片脚立ちで骨盤が大きく傾かないか確認する
・股関節まわりだけでなく、体幹や足部の筋力も整える
歩くときは、足先だけをまっすぐにしようと無理に意識しすぎる必要はありません。足の向き、膝の向き、骨盤の向きが大きくばらばらにならないようにしながら、痛みの少ない歩き方を探していくことが大切です。
こんな場合は専門家に相談を
扁平足がある方で、次のような症状がある場合は、医療機関や理学療法士などの専門家に相談することをおすすめします。
・歩くと股関節の前面や鼠径部が痛む
・靴の片側だけが極端にすり減る
・足裏や内くるぶしの周囲に痛みがある
・膝が内側へ入りやすい
・歩くと体幹が左右に大きく揺れる
・階段や長距離歩行が不安になっている
変形性股関節症では、股関節の状態だけでなく、足部、膝関節、骨盤、体幹の使い方が日常生活に影響します。痛みを我慢して歩き続けるのではなく、どこに負担が集中しているのかを確認し、身体全体の使い方を整えることが大切です。
まとめ
扁平足は、足の内側縦アーチが低下した状態であり、歩行時の足部の回内、膝関節や股関節の動きに影響することがあります。
変形性股関節症と扁平足の関係では、扁平足が股関節症を直接引き起こすと断定するのではなく、足部アライメントや歩行パターンが股関節への負担に関わる可能性があると考えることが重要です。
・足部、膝関節、股関節、骨盤は連動して動く
・扁平足では歩行時の下肢アライメントが変化しやすい
・股関節の痛みをかばうことで足部の使い方が変わることもある
・靴の調整が有効な場合があるが、股関節や体幹の評価も必要
・痛みや歩きにくさがある場合は、専門家による動作評価が大切
フィジオセンターでは、股関節の状態だけでなく、足部のアーチ、靴の状態、膝や骨盤の動き、歩き方を確認しながら、その方に合った身体の使い方を一緒に考えていきます。変形性股関節症や扁平足による歩きにくさでお困りの方は、お気軽にご相談ください。どうぞよろしくお願いいたします。
理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP)/マリガンコンセプト認定理学療法士
日本体外衝撃波医学会認定 運動器体外衝撃波治療施術者
LSVT® BIG認定セラピスト BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
フットコントロールトレーナー LICENSE B
津田 泰志
フィジオセンター
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