変形性股関節症と低いソファで辛い理由と改善策

変形性股関節症と低いソファで辛い理由と改善策

「低いソファに座ると股関節がつまる感じがする」「一度座ると立ち上がるのが大変」「くつろぐためのソファなのに、立つときに痛みが出る」変形性股関節とお持ちの方から、このようなご相談をいただくことがあります。

ソファは本来、体を休めるための家具です。しかし、座面が低い、柔らかく沈み込む、背もたれが深いといった特徴があると、股関節に負担がかかりやすくなります。特に変形性股関節症をお持ちのでは、股関節の痛みや可動域制限、筋力低下が関係し、低いソファからの立ち上がりがつらくなることがあります。

なぜ低いソファは股関節に負担がかかるのか

低いソファに座ると、股関節は深く曲がった姿勢になります。これを股関節屈曲といいます。股関節屈曲が大きくなると、大腿骨頭と寛骨臼の位置関係により、鼠径部や股関節前面に圧迫感やつまり感が出やすくなることがあります。

また、座面が低いと膝の位置が股関節より高くなりやすく、骨盤は後傾しやすくなります。骨盤後傾が強くなると、腰椎の自然な前弯が少なくなり、立ち上がるときに体幹を前へ起こしにくくなります。その結果、股関節だけでなく腰部や膝関節にも余分な負担がかかることがあります。

柔らかいソファで立ち上がりにくくなる理由

柔らかいソファでは、体が座面に沈み込みます。沈み込むことで骨盤が後方へ移動し、足を体の近くに引きにくくなります。

立ち上がり動作では、足を適切な位置に置き、体幹を前に傾け、重心を足の上に移動させる必要があります。しかし、深く沈んだ姿勢では前方への重心移動が難しくなり、股関節伸展筋である大殿筋や、膝関節伸展筋である大腿四頭筋に大きな力が必要になります。

変形性股関節症では、痛みによって股関節周囲筋がうまく働きにくくなることがあります。そのため、低く柔らかいソファでは「立ち上がる前の準備姿勢」が取りにくくなり、痛みや不安定感につながるのです。

日常生活でできる改善策

まず見直したいのは、座面の高さです。座ったときに膝が股関節より少し低い、または同じくらいの高さになると、股関節の曲がりすぎを防ぎやすくなります。低いソファを使い続ける場合は、硬めのクッションを座面に置き、沈み込みを減らす方法があります。

ただし、柔らかすぎるクッションを重ねると姿勢が不安定になることがあります。厚みだけでなく、座ったときに骨盤が安定する硬さを選ぶことが大切です。

次に、座る位置を工夫しましょう。ソファの奥まで深く座ると、立ち上がるときに体を前へ移動させる距離が長くなります。立ち上がる前には、少し浅めに座り直し、足を膝の真下か少し後ろに引くと、重心を前へ移しやすくなります。

立ち上がり動作のポイント

立ち上がるときは、いきなり膝や股関節に力を入れるのではなく、動作の順番を整えることが大切です。

・ソファの前方へ座り直す
・足を床にしっかりつける
・体幹を軽く前に傾ける
・手すりや肘掛けがあれば軽く使う
・息を止めずにゆっくり立ち上がる


このとき、痛みのある側の股関節に体重が偏りすぎないように注意します。体を過度にひねったり、片脚だけで踏ん張ったりすると、股関節や腰部に負担がかかることがあります。

    ソファ選びで意識したいこと

    変形性股関節症の方がソファを選ぶ場合は、見た目や柔らかさだけでなく、立ち座りのしやすさを確認することが大切です。

    座面は低すぎず、沈み込みすぎないものが望ましいです。肘掛けがあると、立ち上がるときに上肢で補助しやすくなります。また、座面の奥行きが深すぎると骨盤が後傾しやすいため、背もたれに寄りかかっても足底が床につきやすいものを選ぶと負担を軽減しやすくなります。

    ご自宅のソファをすぐに買い替える必要はありません。座面に硬めのクッションを置く、足元に滑りにくいマットを敷く、よく使う場所を少し高めの椅子に変更するなど、小さな工夫から始めることが大切です。

    専門家に相談した方がよい症状

    低いソファから立ち上がるときに強い鼠径部痛がある、立ち上がった直後に歩き出しにくい、跛行が強くなっている、夜間痛がある場合は、早めに医療機関への受診を検討することをお勧めします。

    また、ソファでの痛みは股関節だけでなく、腰椎、膝関節、足部の機能とも関係することがあります。股関節の可動域、筋機能、姿勢、重心移動、生活環境を総合的に評価することで、より具体的な改善策が見つかりやすくなります。

    まとめ

    変形性股関節症の方が低いソファでつらさを感じる背景には、股関節屈曲角度の増加、骨盤後傾、座面への沈み込み、立ち上がり時の重心移動の難しさが関係しています。

    改善のためには、股関節を無理に動かすだけでなく、座面の高さ、クッションの硬さ、座る位置、足の置き方、立ち上がりの順番を見直すことが大切です。生活環境を少し整えるだけでも、股関節への負担を減らし、日常生活を過ごしやすくできる場合があります。

    フィジオセンターでは、変形性股関節症の方に対して、股関節の状態だけでなく、椅子やソファからの立ち上がり、歩行のフォームの確認、立位姿勢のチェック、生活環境を含めた評価を行っています。低いソファからの立ち上がりでお困りの方は、お気軽にご相談ください。



    理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
    Certified Mulligan Practitioner(CMP)/マリガンコンセプト認定理学療法士
    日本体外衝撃波医学会認定 運動器体外衝撃波治療施術者
    LSVT® BIG認定セラピスト BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
    フットコントロールトレーナー LICENSE B
    津田 泰志

    フィジオセンター
    TEL:03-6402-7755

    一覧に戻る
    完全予約制
    ご予約はこちら