側弯症は脊柱が横に湾曲する症状で、特に思春期の成長期に進行することが多いです。この治療法として、ドイツ発祥の「シュロス側弯体操」とフランスで開発された「シェノー装具」の組み合わせが、姿勢改善に大きな効果をもたらすことが、世界的に注目されています。
シュロス側弯体操の特徴と効果
シュロス側弯体操は、側弯症の治療法としてヨーロッパを中心に広く普及しています。この体操は、以下の要素を重視して進行する側弯症に働きかけます。
- 筋力強化と固有受容感覚の向上
シュロス側弯体操では、体幹の筋肉に強い刺激を与えることにより、筋バランスの崩れを整えます。また、固有受容感覚(身体の空間での位置感覚)を改善することが、歪んだ姿勢を認識し、正しい位置に戻す力を引き出すことができます。 - 呼吸法の活用
側弯症では、胸郭の変形によって肺機能に影響が出る場合があります。シュロス側弯体操の中では、特定の呼吸法が取り入れられ、胸郭の動きを広げることで、呼吸を改善しながら体幹のバランスを整える効果が期待されています。
シェノー装具との組み合わせによる効果
シュロス側弯体操だけでなく、シェノー装具との併用が重要視されています。シェノー装具は、体幹を外部から支えることで湾曲を物理的に矯正します。この装具を着用することで、以下のような効果が期待されます。
- 姿勢矯正の維持
シェノー装具は、患者が日常生活の中で無意識に側弯が進行しないように、脊柱の矯正をサポートします。これにより、シュロス側弯体操で強化した筋肉や体幹のバランスを維持しやすくなります。 - 相乗効果
シュロス側弯体操によって、筋肉を強化しながら固有受容感覚を高め、シェノー装具で物理的な矯正を行うことで、側弯症の進行を効果的に抑えることができます。この相乗効果により、より早期の姿勢改善が期待できます。
日本での普及と治療の現状
日本では、シュロス側弯体操とシェノー装具の組み合わせはまだ普及し始めたばかりですが、当センターでは、シュロス側弯体操のみを行う患者や、シェノー装具を併用するクライエントに対して、適切な管理と指導を行っています。
まとめ
シュロス側弯体操とシェノー装具の組み合わせは、側弯症の進行を抑え、姿勢を効果的に改善するための優れた治療アプローチです。固有受容感覚を高める筋トレーニングと、正しい呼吸法の取り入れにより、体幹のバランスを整えつつ、シェノー装具で物理的な矯正を行うことで、最適な予防改善効果が期待できます。
これらの治療法は、特に早期治療が効果的であるため、早期診断と適切な治療法の選択が重要です。側弯症でお悩みでしたら、ご連絡お待ちしております。
参考文献:
- Monticone, M., et al. (2014). "Active self-correction and task-oriented exercises reduce spinal deformity and improve quality of life in subjects with mild adolescent idiopathic scoliosis." European Spine Journal, 23(6), 1204-1214.
- Negrini, S., et al. (2018). "2016 SOSORT guidelines: orthopaedic and rehabilitation treatment of idiopathic scoliosis during growth." Scoliosis and Spinal Disorders, 13(1), 3.
- Rigo, M., et al. (2010). "Outcome assessment in patients with adolescent idiopathic scoliosis treated with a Chêneau brace." Scoliosis, 5(1), 1-9.
※これらの文献は、シュロス側弯体操やシェノー装具を用いた治療法が、効果的に側弯症の進行を抑え、患者の生活の質を向上させることを示しています。
東京慈恵医科大学病院E棟2階 フィジオセンター
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シュロス法側弯セラピスト 大田