昨日のブログでは、大腿骨頸部骨折術後の方々のバランス機能と視覚の影響、それに関与する前提系との関わりについて解説しました。本日は、併せて立位・歩行のパフォーマンスやバランス機能に関連の深い、筋力トレーニングの方法の1つの案について解説します。
私たちの筋肉には複数タイプがあり、大まかに2つに分けると、持続的に長く活動する事が可能なTypeⅠ線維、短い時間に早く大きく活動できるTypeⅡ線維に分けられます。よく挙げられる例としてマラソンの選手はTypeⅠ線維が比較的優位に発達し、短距離のスプリンター選手の場合はTypeⅡ線維が発達していると考えられています。
お怪我のないご高齢の方々で、運動習慣がなく運動量が低下されている場合、全身的に筋肉の量が低下する事、筋力の低下が起こりやすい事がわかっています。加えてその筋力の低下は、先に述べた短い筋肉に大きく強く活動するTypeⅡ線維が優先的に萎縮(筋肉がやせてしまう事)してしまう事が明らかになっています。
特に大腿骨頸部骨折術後で転倒が原因で受傷されている方の場合の特徴として、バランスを崩した際に姿勢を修正するために必要な素早い動き・素早い働きの筋肉の活動が苦手です。そのため、萎縮を起こしやすい筋線維であるTypeⅡ線維に対して積極的にアプローチを行う事が必要です。
1つ考えられている方法としては、マシントレーニングを素早いスピードで行う事です。レッグエクステンション(座って膝を伸ばして下す運動)を例に挙げた場合、膝を伸ばす運動(求心性収縮)は出来るだけ素早いスピードで行い、膝を下す運動(遠心性収縮)はゆっくり速度をコントロールして下す方法が挙げられます。この場合は、運動速度の変化に対して関節負荷が大きく変動しない、空気圧の負荷を用いたマシンを選択する必要があります。
フィジオセンターでは、歩行のパフォーマンスやバランス機能、日常生活で不便にされている動作について評価を行い、筋力低下を原因として考えられる場合には、筋力低下を起こしている筋肉・働きが苦手な収縮様式(求心性収縮・遠心性収縮)、筋肉同士の活動の組み合わせを考慮してマシントレーニングを行い、その後に立位姿勢のバランストレーニング・体重を足にかけた状態での筋力トレーニングを合わせて実施します。
フィジオセンターでは、医療機関での外来リハビリテーションと並行して施術・コンディショニングをご利用になられる方、手術後に医療機関でのリハビリテーションの算定日数を超えてしまい、リハビリテーションが終了された方々にご利用頂いています。プログラムの実施内容は、医療機関での治療方針に沿って安全に介入を進めていきます。
当センターは保険外・自費でのサービス(保険外リハビリテーション・自費リハビリテーション)となるため、大腿骨頸部骨折術後の方やご高齢の方の特徴やバランスのとり方の特徴を確認して、必要性の高いオーダーメイドのバランスエクササイズを実施しています。
ご興味のある方はホームページまたは、お電話にてお気軽にお問い合わせください。
どうぞよろしくお願いいたします。
理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner (CMP) /マリガンコンセプト認定理学療法士
LSVT®BIG認定セラピスト
津田 泰志