本日は変形性股関節症とクロスシンドロームの関係について考察し、症状の理解とアプローチ例について解説します。クロスシンドローム(crossed syndrome)は、筋力の不均衡や姿勢の異常が特徴で、上位交差症候群(upper crossed syndrome)と下位交差症候群(lower crossed syndrome)の2つに分けられます。
変形性股関節症をお持ちの方の場合、股関節周囲の筋肉に大きな影響が現れます。特に、中殿筋や大殿筋の下部線維の弱化、腸腰筋や大腿直筋などの股関節屈筋群の緊張が亢進する事や短縮がよく見られます。この筋肉の不均衡は、歩行パターンの変化や体重を片足で支えるタイミングで骨盤の安定性の低下を引き起こします。また、股関節の変形により痛みを回避しようとする姿勢が、さらなる筋肉のインバランスを助長することが少なくありません。
クロスシンドロームは、筋肉の弱化と過緊張が交差するパターンが特徴です。下位交差症候群では、体幹の深層筋にあたる腹横筋や大殿筋が弱化し、腰部の脊柱起立筋や腸腰筋や大腿直筋などの股関節屈筋群が過緊張状態にあります。この状態は骨盤の前傾を引き起こし、股関節や腰椎に過剰な負荷を与えます。
変形性股関節症をお持ちの方において、下位交差症候群が同時に見られることは少なくありません。このような場合、股関節周囲の筋力バランスの崩れが股関節にさらに負荷をかけ、疾患の進行を早めてしまう可能性があります。例えば、若年者で変形性股関節症をお持ちの方の方に多いパターンである、股関節屈筋群の緊張が強い場合、股関節の伸展可動域が制限され、正しい歩行のフォームが妨げられることがあります。また、大殿筋・中臀筋の弱化は片脚立位時の骨盤の安定性を損ない、トレンデレンブルグ跛行を引き起こす要因となります。
フィジオセンターではこのような場合、まずは過緊張を呈している、腰部の脊柱起立筋・腸腰筋や大腿直筋などの股関節屈筋群に対して、ストレッチや徒手的なリリースを用いて過緊張の緩和を促します。その後に機能が低下している腹横筋を中心とした体幹の深層筋・大殿筋の下部線維や中殿筋に対してエクササイズを実施します。筋肉のインバランスを修正後には、実際の動きの修正を行うため姿勢の修正方法や修正を行った筋肉のバランスを良い状態で保つためのセルフエクササイズを継続して行っていきます。
当センターは保険外・自費でのサービス(保険外リハビリテーション・自費リハビリテーション)となるため、変形をお持ちの股関節の機能を出来るだけ発揮できるような働きかけだけではなく、全身的に姿勢や動きを拝見して、どのような体の使い方を行う事でより良い動きになっていけるかを確認して施術・コンディショニングを提案しています。ご興味のある方はホームページまたは、お電話にてお問い合わせください。どうぞよろしくお願いいたします。
年末年始休業のお知らせ
2024年12月28日(土) ~ 2025年1月5日(日)
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理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner (CMP) /マリガンコンセプト認定理学療法士
LSVT®BIG認定セラピスト
津田 泰志