変形性股関節症をお持ちの方は、変形自体が進行すると日常生活に大きな支障をきたす疾患であり、重度の痛みや可動域制限を引き起こす事があります。このため、人工股関節全置換術(Total Hip Arthroplasty, THA)は、多くの患者様にとって痛みの軽減と機能回復を目的とした有効な方法となります。そのような中、近年の研究では人工股関節置換術後の患者様においてバランス能力の低下が長期間にわたって持続する可能性があることが示唆されています。
2022年に発表されたシステマティックレビューによると、人工股関節置換術を受けた患者の多くが、手術後もバランス能力の低下が続いていることが報告されています。この研究では複数の論文を統合した結果、人工股関節全置換術後の患者様の多くが、手術後6か月から1年以上経過しても健常者と比べてバランスが不安定な点があり、転倒のリスクが高いことが確認されています。
特に、人工股関節全置換術後のバランス能力の低下は、以下のような要因が影響している可能性が指摘されています。1つ目は感覚フィードバックの低下が挙げられます。股関節が人工関節に置き換わることで、関節周囲の固有感覚ception)が低下し、バランス調整が困難になる事。2つ目は、姿勢制御の変化が挙げられます。人工股関節全置換術後の患者では、歩行パターンや姿勢制御(姿勢を保つ事)戦略が手術前と異なる事で、体が慣れるまでに時間が必要なためです。
フィジオセンターではこのような場合、固有感覚のトレーニングとして不安定な環境でのトレーニング(バランスボードやバランスパッドを使用するなど)を行い、関節から脳へ送る情報を増やす事。歩行パターンの改善として立位姿勢の修正や筋肉のバランスを調整するストレッチやエクササイズを行い、左右対称の動作を促す事を行います。
当センターは保険外・自費でのサービス(保険外リハビリテーション・自費リハビリテーション)となるため、人工股関節全置換術後の医療機関での外来リハビリテーションが終了されておられる方に対して、人工股関節全置換術後の股関節機能だけではなく、全身的に関係のある足関節や膝関節の機能との関わりを確認しながら施術・コンディショニングを実施しています。
ご興味のある方はホームページまたは、お電話にてお気軽にお問い合わせください。
どうぞよろしくお願いいたします。
理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner (CMP) /マリガンコンセプト認定理学療法士
LSVT®BIG認定セラピスト
津田 泰志