変形性股関節症をお持ちの方にとって、進行する股関節の変形は日常生活の質を低下させる大きな要因となってしまいます。そのため、人工股関節全置換術は、痛みの軽減と股関節の機能回復を目的とした有効な治療法として広く実施されています。そのような中、近年の研究では人工股関節全置換術後の歩行能力の回復には個人差があり、術前の身体機能が術後の歩行能力に大きく影響することが示唆されています。
2014年に発表された研究によると、人工股関節全置換術を受けた患者の歩行能力は術前の膝伸展筋力(膝を伸ばす筋力)、股関節外転筋力(足を側方に開く運動)、加えて年齢(73歳以上)と強く関連していることが報告されています。この研究では、人工股関節全置換術を受けた患者48名を対象に、術前および術後3週間、4か月、7か月の歩行能力をTimed Up and Go(TUG)テストを用いて測定しました。
研究の結果、術前の膝伸展筋力が強い患者ほど術後3週間の歩行能力が良好であり、股関節外転筋力が強い患者ほど術後4か月の歩行能力が向上していました。また、年齢が高い患者ほど術後7か月の歩行能力が低下する傾向が確認されました。これらの結果から、術前の身体機能評価が、術後の歩行能力を予測する上で重要な指標となることが示唆されました。
フィジオセンターでは、このように人工股関節全置換術を予定されている方が当センターをご利用頂く場合に、歩行の機能に関わる筋力のエクササイズを実施する事、術後も関節可動域制限が残存する事のある股関節伸展制限に対して固い組織のリリース・ストレッチを行い術前の関節可動域制限を出来るだけ確保しておく事、術後も歩行機能に関与する可能性の高い体幹のインナーマッスルエクササイズを実施します。
当センターでは、保険外・自費でのリハビリテーションサービスを提供しております。医療機関での外来リハビリテーションを実施されていない方、もしくはリハビリテーションが算定日数制限のため終了された方々に向け、股関節機能の改善を目的として、足関節や膝関節の機能との関わりを確認しながら施術・コンディショニングを実施しています。
ご興味のある方は、ホームページまたはお電話にてお気軽にお問い合わせください。
どうぞよろしくお願いいたします。
理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner (CMP) /マリガンコンセプト認定理学療法士
LSVT®BIG認定セラピスト
津田 泰志