両側変形性股関節症と片側の人工股関節全置換術(THA)の関係について

両側変形性股関節症と片側の人工股関節全置換術(THA)の関係について

本日のブログでは、変形性股関節症をお持ちで人工股関節全置換術を検討されている方からご質問を頂く事のある、『両方の股関節に変形の影響があるが、左右どちらかの人工股関節全置換術を受けた後に、反対側の股関節にどのような影響がありますか?』といった内容について解説します。

一側の人工股関節全置換術には、手術側の痛みの軽減や関節可動域の改善・股関節の筋力の改善など手術側にとって多くのメリットがある事に加えて、国内の多くの論文でも反対側の股関節の機能が向上する事や、術前にあった腰痛などが大きく軽減する事がわかっています。

その一方で少し長期的な視点に立つと、手術を行っていない側の股関節に変形の進行を認める場合もみられます。以下はスペインでの研究を元にまとめた内容を解説します。

人工股関節全置換術を受けた対象者のうち、約10%が3年以内に反対側の股関節の変形が進行し、人工股関節全置換術を必要とする可能性があると報告されています。この変形の進行は、反対側の人工股関節全置換術を行われた時期に、手術を行っていない側の股関節の変形が進行している事や、関節裂隙(関節のすきま)が明らかに狭い場合には、特に可能性が高くなるとされています。

人工股関節全置換術を行った側の反対側の股関節の変形が進行する理由としては、以下の内容で股関節の負担が増加する事が理由と考えられています。

1つ目は体重のかけ方の変化です。手術側の機能が改善し歩行のフォームについて左右差などは軽減する場合が多いのですが、結果として反対側の負担が増加する事が考えられています。

2つ目は、一時的な筋力低下です。人工股関節全置換術を行った側の股関節は術後に筋力低下が起こります。そのため一時的に反対側の股関節への負担が増加する可能性があります。

3つ目は、年齢が若くや活動レベルが高い事です。3つの中でこの要因が一番強いと考えられますが、 年齢が若くて活動量が多い対象者は、手術を行っていない股関節への負担が大きくなり、変形の進行が速まる可能性があります。

フィジオセンターではこのような場合、手術を行われて股関節の機能だけではなく、手術を行われていない股関節の機能を詳細に確認します。加えて両方の股関節に関連の深い体幹深層筋の機能や足部機能の評価を行い、どのようなアプローチを行う事で、左右の股関節の機能を十分に発揮できるかを確認して、施術・コンディショニングを進めています。

当センターでは変形性股関節症をお持ちの方で、人工股関節全置換術後の医療機関での外来リハビリテーションが処方されていない方、また医療保険での算定日数の影響により外来リハビリテーションが終了されている方、外来リハビリテーションと並行してリハビリテーションの実施をご希望される方に対して、人工股関節全置換術の股関節・手術を行っていない股関節の機能を高めるためのオーダーメイドの施術・コンディショニングを行っています。。

ご興味のある方は、ホームページまたはお電話にてお気軽にお問い合わせください。
どうぞよろしくお願いいたします。

理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP) / マリガンコンセプト認定理学療法士
LSVT®BIG認定セラピスト
津田 泰志

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