変形性股関節症と多裂筋の評価方法について

変形性股関節症と多裂筋の評価方法について

変形性股関節症をお持ちの方において、多裂筋の機能が体幹の安定性に寄与し、特に脊椎の安定化や骨盤帯の支持に重要な役割を果たします。多裂筋は腰部のインナーマッスルの一部として、股関節周囲筋と連携しながら機能するため、変形性股関節症の進行に伴い、その働きが低下することが少なくありません。前回のブログでは腹横筋の評価方法について解説しましたが、今回のブログでは、多裂筋の機能を徒手的に確認する方法について詳しく解説します。

多裂筋の機能とその重要性

本来、多裂筋は本人が意識せずとも、脊柱の安定化のために先行して働くことが求められます。特に四肢の動作の前に適切に活性化することで、骨盤の安定性を確保し、股関節の動きをサポートします。しかし、変形性股関節症をお持ちの方では、多裂筋の機能低下もしくは機能の亢進による過緊張が見られることが多く、他の体幹筋(特に表層の脊柱起立筋群や腹筋群)が過剰に働くことで、腰部や骨盤のバランスが崩れることが報告されています。そのため、施術やコンディショニングの前に、多裂筋の機能を評価し、適切なアプローチを行うことが重要です。

多裂筋の徒手的評価方法

ベッド上で多裂筋の機能を確認する方法として、以下の手順が1つの例として挙げられます。た
対象者はうつ伏せのしせいを取ります。検査者は対象者の腰部の棘突起のすぐ横を触診します。この部位が多裂筋を確認できる場所になります。筋肉の張りが低い事や筋肉に萎縮がある場合は、触ってもその部位に張りがなく、筋肉のボリュームが少ない事が安静時から確認できます。

対象者はその姿勢から、僅かに背中を反らす運動を行い、検査者はその際の多裂筋の働くタイミングの左右差や、筋肉の収縮の程度を確認します。筋肉の活動が低下している場合は、このような運動を行っても筋の張りが作りにくい状態にあります。反対に筋肉が普段から過剰に働いている場合は、リラックスした際にも筋肉の過剰な張りが抜けずにこの固さが腰痛の原因になる事があります。

フィジオセンターではこのような場合、多裂筋の働きが低下している、または過剰に亢進している理由について評価・確認を行います。例としては、股関節の関節可動域制限を補うために、腰椎に過剰な大きな動きが求められる場合は、同部位の多裂筋の活動は低下し腰椎には大きな負担が加わる事が想定されます。また、年齢がお若い状態で変形性股関節症をお持ちの方の場合、反り腰を作って股関節の臼蓋被覆を増加するために、最長筋や腸腰筋などの腰部のアウターマッスルと同じように多裂筋が強く、持続的に働いていまう場合があります。このような原因と現象を様々な視点から考察し、オーダーメイドの施術・コンディショニングを進める事が大切だと考えています。

当センターでは変形性股関節症をお持ちの方で、外来リハビリテーションが処方されていない方、また医療保険での算定日数の影響により外来リハビリテーションが終了されている方、外来リハビリテーションと並行してリハビリテーションの実施をご希望される方に対して、変形性股関節症をお持ちの股関節に対して最適と考えられる施術・コンディショニングをご提案しています。

ご興味のある方は、ホームページまたはお電話にてお気軽にお問い合わせください。
どうぞよろしくお願いいたします。

理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP) / マリガンコンセプト認定理学療法士
LSVT®BIG認定セラピスト
津田 泰志

一覧に戻る
完全予約制
ご予約はこちら