変形性股関節症をお持ちの方において、股関節痛は多くの対象者の方にみられる症状です。その痛みの原因は多岐にわたり、関節内の滑膜炎や関節内圧の亢進、関節包へのストレスやインナーマッスルの過剰な活動による血流不全によるものや、アウターマッスルの過剰な活動、筋肉の間の疎性結合組織の滑走不全など、痛みの受容器(センサー)がある全ての組織に原因となる可能性があります。
その中で、股関節の深い所に痛みをお持ちの方が少なくありません。安静時痛や夜間時痛などについては、関節内の炎症が関係している可能性があり、特に注意が必要です。これらの炎症を疑う所見はみららないものの、関節の深層に痛みが出現する理由としてはどのような理由が考えられるでしょうか。
以下に整理をして解説していきます。
1つ目は、股関節のインナーマッスルの血流不全です。変形性股関節症をお持ちの方々は、基本的に股関節の支える面積が少ないため、不安定性を補うために股関節のインナーマッスルが持続的に強く働き続けている方がおられます。筋肉は固く可動性制限の原因となる事に加えて、持続的な活動が長期化する場合は筋肉への血流が一部低下するため疲労物質や疼痛に関わる物質が筋肉に残ってしまう事により、痛みに繋がると考えられています。筋肉の深層に対して、リリースやストレッチを行う事で軽減する痛みについては、この点が影響していると考えられます。
2つ目は、股関節の深層にある疎性結合組織の滑走不全です。特に股関節の前面にある疎性結合組織は、大腿直筋直頭などの組織と共に炎症を起こしやすいと報告されています。この炎症が発生した後については、脂肪組織を多く含む疎性結合組織は固くなってしまう事が報告されており、筋肉と筋肉の間の滑りが悪くなる事で股関節深層に痛みが出現している事が考えられます。
フィジオセンターではこのような場合、痛みの訴えのある深層筋に対して、レッドコードを使用し関節面を少ない力で牽引を行いながらリリースやストレッチを行う事や、特定のインナーマッスルだけが過剰な活動とならないように、他の機能が低下している筋肉に対してエクササイズ・トレーニングを行う事で負担の軽減を図ります。
当センターでは変形性股関節症をお持ちの方で、外来リハビリテーションが処方されていない方、また医療保険での算定日数の影響により外来リハビリテーションが終了されている方、外来リハビリテーションと並行してリハビリテーションの実施をご希望される方に対して、変形性股関節症をお持ちの股関節に対して最適と考えられる施術・コンディショニングをご提案しています。
ご興味のある方は、ホームページまたはお電話にてお気軽にお問い合わせください。
どうぞよろしくお願いいたします。
理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP) / マリガンコンセプト認定理学療法士
LSVT®BIG認定セラピスト
津田 泰志