側弯症の手術後に大切な「運動療法」のご紹介

側弯症の手術後に大切な「運動療法」のご紹介

Telerehabilitation After Surgery in Adolescent Idiopathic Scoliosis: A Randomized Controlled Trialİrem Çetinkaya1,2Tuğba Kuru Çolak3,*Mehmet Fatih Korkmaz4Mehmet Aydoğan

〜テレリハビリ研究から見えてきたこと〜

思春期特発性側弯症(AIS)の治療では、「後方脊椎固定術(PSFI)」が標準的な手術として行われています。手術で背骨の曲がりは改善されますが、その後の生活では「柔軟性の低下」「体幹筋の持久力低下」「痛み」「活動量の減少」といった問題が残ることが少なくありません。

実は、日本を含め多くの国で、術後のリハビリは入院中の理学療法に限られ、その後の体系的な運動プログラムが十分に提供されていないのが現状です。

新しい研究の報告

トルコで行われた最新のランダム化比較試験(RCT)では、術後6か月〜2年が経過したAIS患者32名を対象に、「オンラインで行う運動プログラム(テレリハビリ)」の効果を検証しました。

プログラムの内容

  • 週2回・8週間のオンラインセッション
  • コア筋群(腹横筋、多裂筋、横隔膜、骨盤底筋など)の活性化
  • 呼吸を意識した体幹トレーニング
  • ブリッジ、プランク、ストレッチ、ボールやゴムバンドを使った運動などを段階的に実施

結果(運動群 vs. 通常ケア群)

運動プログラムを行ったグループでは、

  • 体幹筋持久力の改善(腹筋・背筋・側腹筋が長く維持できるように)
  • 体幹柔軟性の向上(前屈や側屈の可動域が広がった)
  • 痛みの軽減(NRSスコア低下)
  • 生活の質(QOL)の向上(SRS-30スコア改善)
    が確認されました。

一方、運動をしていないグループでは、柔軟性や筋持久力の改善はほとんど見られず、一部では痛みや生活満足度が低下していました。

なぜ術後の運動が大切なのか?

手術は背骨の曲がりを矯正しますが、「筋肉や柔軟性」は自然に元通りになるわけではありません

  • 固定した背骨は動かせない部分があるため、残った部分の柔軟性を保つ必要があります。
  • 体幹筋が弱いと、術後も腰や背中に負担がかかり、痛みや疲労感につながります。
  • 正しい運動を取り入れることで、姿勢や体の使い方が改善し、見た目の印象や生活の質も高まります。

側弯矯正手術後の方へのメッセージ

「手術が終わったから治療はおしまい」ではなく、術後こそが新しいスタートです。

  • 体幹筋をしっかり使う運動
  • 呼吸と姿勢を意識したエクササイズ
  • 無理なく継続できるストレッチ

これらを取り入れることで、痛みを減らし、動きやすさを取り戻し、自分らしい生活に近づくことができます。もし手術をお受けになる前、またはお受けになった後、運動療法(エクササイズ)を専門家にご希望の場合は、ドイツ公認の側弯症専門理学療法士(シュロス側弯症セラピスト)の在籍するフィジオセンターにご相談下さい。

東京慈恵医科大学病院E棟2階 フィジオセンター

お問い合わせ先:info@physiocenter.jp

電話:03-6402-7755

理学療法士:大田(シュロス側弯症セラピスト)

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