腰椎分離症が起こりやすい年齢層とその理由

腰椎分離症が起こりやすい年齢層とその理由

腰椎分離症は、「激しいスポーツをしている子どもに多い」と言われることが多い疾患です。しかし、実際にはどの年齢で起こりやすく、その背景にはどのようなな理由があるのでしょうか。本日のブログでは、腰椎分離症が生じやすい年齢層と、その理由について整理します。

□ 腰椎分離症が起こりやすい年齢とは

腰椎分離症が特に多いのは、成長期の小学生高学年〜高校生とされています。この年代は、部活動やクラブチームなどでスポーツ活動量が急増する事、技術習得のために反復練習が多くなる。といった要素が重なり、腰椎の椎弓部に繰り返しのストレス(伸展と回旋による関節に対する圧縮力)が加わりやすい時期です。

一方で、成人以降に「新たに」分離症が発生することは少なく、学生時代に生じた腰椎分離症が、症状の有無に関わらずそのまま残存しているケースがほとんどと考えられています。

□ なぜ成長期に腰椎分離症が起こりやすいのか

成長期に腰椎分離症が起こりやすい理由は、主に次のような点が挙げられます。

1つ目は、 椎弓部の骨がまだ完成途上である事です。成長期の骨は、成人に比べてまだ柔らかく、骨端線や海綿骨が多い構造をしており、繰り返しのストレスに対して成人と比較し弱いです。特に第5腰椎の椎弓部は力学的ストレスが集中しやすく、伸展・回旋動作を繰り返すことで骨のストレス反応 ⇒ 微細損傷⇒ 疲労骨折へ進行すると考えられています。

2つ目は、筋力・柔軟性・動作のモーターコントロールのアンバランスです。身長が急激に伸び、体幹深層筋の機能が低下している場合や、反り腰の原因となる筋肉の長さが不足している場合に加えて股関節の関節可動域が低下している場合は、腰椎で動きを代償しやすい状態が生まれます。その結果、腰椎に過度な負担がかかりやすくなります。

3つ目は、練習量や練習頻度の増加です。中高生年代では、レギュラー争いや大会出場、技術習得のための反復練習などにより、オーバーユースになる事が少なくありません。疲労が蓄積した状態での高頻度な練習は、骨の修復が追いつかず、骨のストレス反応を悪化させる大きな要因となります。

□ スポーツ種目・ポジションによる影響について

分離症が多い年齢層の中でも、特にリスクが高いのが腰の伸展(反る動き)と回旋(捻りの動き)を多用するスポーツです。たとえば、野球(バッティング動作)、サッカー(キック動作)、バレーボール(アタック・着地後のネットを避ける動き)、体操(体を反る動き)などが挙げられます。

□ フィジオセンターでのアプローチ

フィジオセンターでは、医療機関での診断結果を踏まえ、年齢・成長段階・競技特性を考慮した個別リハビリテーションを行っています。

1つ目は、骨の修復を優先する急性期の対応です。医療機関の指示に基づいたスポーツ活動の制限・コルセットの使用などが治療の中心となり、許可が得られた場合は、分離症を呈している腰椎に対して負担をかけない範囲での体幹インナーマッスルエクササイズを行い、復帰後の再発予防に努めます。

2つ目は、姿勢・アライメントの改善です。例としては、反り腰や骨盤前傾の是正や関節可動域制限を呈しやすい、股関節や胸椎などの、本来動くべき関節の可動域の改善を図ります。

3つ目は、競技復帰を見据えたスポーツ動作の確認です。先に述べた競技ごとの特徴を把握した上での動作の確認や修正です。必要な動作を分離症を呈していた腰椎の動きが過剰にならないように、全身的の動作パターンを確認します。

□ まとめ

腰椎分離症は、年齢的に中学生~高校生がが起こりやすい時期であることを理解し、早めにサインに気づいて適切な診断とリハビリテーションにつなげることが、将来的な腰痛や分離すべり症のリスクを減らすうえでも重要です。

腰椎分離症と診断された方や、その疑いがあり医療機関での外来リハビリテーションが受けられない方、保険制度上リハビリが終了してしまった方、部活動と両立しながら追加のリハビリテーションをご希望の方は、ホームページまたはお電話にてお気軽にお問い合わせください。どうぞよろしくお願いいたします。

理学療法士/保健医療科学修士号/認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP)/LSVT® BIG 認定セラピスト
日本体外衝撃波医学会認定 運動器体外衝撃波治療施術者
BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
津田 泰志

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