腰椎分離症と骨のストレス反応について

腰椎分離症と骨のストレス反応について

骨のストレス反応は、スポーツや成長期における腰椎分離症の発症に深く関与します。本日のブログでは、骨のストレス反応の基本的なメカニズムから、腰椎分離症との関係、そしてフィジオセンターで行うアプローチについてご紹介します。

□ 骨のストレス反応とは

骨は常に「壊す」と「作る」を繰り返すことで強度を保っています。運動や荷重による適度な刺激は骨形成を促しますが、過度な繰り返しストレスが加わると、修復が追いつかず、骨内部に微細な損傷が生じます。この状態が骨のストレス反応です。

この微細な損傷の初期段階では骨髄浮腫がMRIで確認されますが、X線では異常が見られないことが多く、腰椎分離症の早期診断のためにはMRIの撮像の必要性が高い事が報告されています。この段階を放置すると、やがて骨折線が形成され、疲労骨折へと進行してしまいます。

□ 腰椎分離症との関係

腰椎分離症は、主に第5腰椎の椎弓部に発生する疲労骨折です。スポーツ選手や成長期の中高生に多く見られ、ジャンプや腰を反らす動作、体幹の回旋(捻りの動き)などで椎弓部に繰り返しストレスが加わることが原因とされています。

近年では、MRIによって「骨のストレス反応」→「骨折」という連続的な変化が明確に示されています。国内での報告では、MRIで骨髄浮腫を認めるが段階で治療を開始した症例の95%で骨癒合が得られたとされており、早期診断・早期治療の重要性が強調されています。

これらの研究から、腰椎分離症は骨のストレス反応が進行した結果として生じる疾患であり、初期の対応が重要であることが分かります。

□ どのようなサインに注意すべきか

骨のストレス反応や腰椎分離症の初期症状は、腰部の筋肉痛と見分けがつきにくい場合があります。以下のようなサインに注意が必要です。

・スポーツ後に腰が重く、休むと軽くなる
・前屈では痛くないが、後ろに反ると痛みが出る
・痛みが左右どちらか一方に集中している
・長時間立っていると腰がだるくなる

このような症状が続く場合には、骨のストレス反応の初期段階である可能性があります。

□ フィジオセンターでのアプローチ

フィジオセンターでは、医療機関で行われた画像所見や診断結果による安静度の基準を基に、骨のストレス反応から腰椎分離症に至るメカニズムを考慮した個別リハビリテーションを実施しています。

1つ目は、急性期(修復期)での安静と疼痛管理です。この段階ではスポーツ活動を制限し、腰椎の伸展・回旋動作を避けながら、骨修復を促進します。必要に応じて、腰椎の動きを伴わない体幹筋のインナーマッスルのエクササイズを実施します。

2つ目は、回復期での姿勢制御・体幹安定性の再教育です。骨癒合が進行してきた段階では、体幹の安定性トレーニングや、腰椎へのストレス分散を意識したフォーム修正を行います。特に過剰な骨盤前傾や分離症を起こしている腰椎過伸展の癖がある場合は、動作パターンを再教育することが再発防止に重要です。

3つ目は、競技復帰期でのスポーツ動作再構築です。競技特性に応じて、ジャンプやスイング、スプリント動作などを段階的に再導入し、腰椎への負荷管理と再発予防を両立させます。

□ まとめ

骨のストレス反応は、骨折の前段階であり、腰椎分離症の初期サインです。専門の医療機関における、早期診断と、修復を促す安静(コルセットなどの使用)および段階的なリハビリテーションにが重要です。

腰椎分離症をお持ちで、医療機関で外来リハビリテーションを受けられない方や、保険制度上リハビリが終了してしまった方、並行して追加のリハビリテーションを希望される方には、ホームページまたはお電話にてお気軽にお問い合わせください。どうぞよろしくお願いいたします。

理学療法士/保健医療科学修士号/認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP)/LSVT® BIG 認定セラピスト
日本体外衝撃波医学会認定 運動器体外衝撃波治療施術者
BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
津田 泰志

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