腰椎分離症がなぜ成長期に多いのか

腰椎分離症がなぜ成長期に多いのか

――スポーツを頑張る中高生に多い「疲労骨折」を防ぐために――

成長期の学生アスリートに多く見られる腰痛の原因の一つに、「腰椎分離症」があります。特に、野球・サッカー・バレーボール・体操・陸上競技など、腰を反らす・ひねる動作が多いスポーツを行う中高生に発症しやすいのが特徴です。本日のブログでは、腰椎分離症の発生メカニズムや好発時期、症状の特徴、そして予防とリハビリテーションのポイントを解説します。

□ 腰椎分離症とは

腰椎分離症とは、腰椎の後方にある「椎弓」と呼ばれる骨に、繰り返しのストレスが加わることで起こる疲労骨折です。椎弓は、腰を反る動きやひねる動きで最も負担がかかる部位の一つであり、成長期に骨がまだ完全に形成されていない事が発症の要因となります。

通常、好発部位は第5腰椎(L5)が最も多く、次いで第4腰椎(L4)です。両側性に発生するケースもあり、症状が進行すると「分離すべり症」へと移行することもあります。

□ なぜ成長期に多いのか

成長期の骨は、成人と比べて柔らかく、骨端線や骨皮質がまだ完成していません。そのため、繰り返しのスポーツ動作によって小さなな骨の損傷が生じやすい状態です。特に、以下の要素が重なることで発症リスクが高まります。

・高い練習頻度や長時間のトレーニング
・柔軟性の低下(特に股関節伸展と内旋・胸椎回旋の制限)
・腰椎を安定させる機能を持つ、体幹深層筋(多裂筋・腹横筋など)の機能低下
・急激な身長の伸びに伴う身体バランスの変化

つまり、成長期の「骨の未成熟」と「スポーツによる過負荷」の組み合わせが、腰椎分離症を引き起こす大きな要因と考えられています。

□ 主な症状と早期発見のポイント

初期症状として多くみられるのは、腰を反らしたときの痛みです。特に練習中や試合後に腰の違和感を訴え、「休むと軽くなるが、練習を再開すると痛みが戻る」といった経過をたどることがよくあります。進行すると、次のような症状が出ることがあります。

・腰の一点に限局した痛み
・腰を反り動作での鋭い痛み
・休息後は症状が治まるが、動き出すと症状が再発する事

□ 予防とリハビリテーションの考え方

腰椎分離症の予防とリハビリテーションでは、「医療機関での診断を元に治療方針を決定する」「骨へのストレスを減らす」「腰椎を守る筋肉を強化する」ことが大切です。フィジオセンターでは、次のようなアプローチを重視しています。

1つ目は、股関節・胸椎の関節可動域の改善です。股関節伸展・内旋や胸椎回旋の制限は、腰椎に代償的な負担をかけます。これらの、関節可動域を改善するストレッチやモビライゼーションを通じて、腰椎へのストレスを軽減します。姿勢・動作の修正

2つ目は、体幹深層筋の活性化です。腹横筋や多裂筋など、腰椎安定化に重要な筋群をターゲットとしたエクササイズを行います。例えば、四つ這い姿勢での「バードドッグ」などがが有効です。

3つ目は、姿勢や動作の修正です。腰椎を反りすぎるフォームや、股関節・胸椎の可動域不足を補うようなメカニカルストレスを増加させる動作を修正します。スポーツ動作中の体幹コントロールを再教育し、腰椎にかかる負担を分散させます。

□ まとめ

腰椎分離症は、成長期の骨の弱さと、繰り返しのスポーツ動作によるストレスが重なることで起こる疲労骨折です。早期に適切な診断と対応が行われれば、骨癒合が期待でき、競技復帰も十分可能です。「腰痛は成長痛だろう」と自己判断せず、早めの医療機関受診とリハビリ専門職への相談が何よりも重要です。フィジオセンターでは、アスリート一人ひとりの背景や目標に合わせたサポートを行っています。腰の違和感や痛みが気になる方は、ぜひお気軽にご相談ください。

理学療法士/保健医療科学修士号/認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP)/LSVT® BIG 認定セラピスト
日本体外衝撃波医学会認定 運動器体外衝撃波治療施術者
BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
津田 泰志

フィジオセンター
TEL:03-6402-7755

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