腰椎分離症は成長期のスポーツ選手に多く生じる疲労骨折であり、先日のブログでも解説した通り、初期〜進行期では骨癒合が期待できるため、適切な安静と負荷管理が治療の鍵となります。しかし、「安静にする」と言われると、ただ運動を休むだけの期間と捉えられがちです。実際には、安静期間をどのように過ごすかによって、復帰後のパフォーマンスが大きく変わります。医療機関の医師の診断や安静度をしっかりと確認し、安静期間中にも行う事が可能なエクササイズがあるのかを確認する事も大変重要です。
本日のブログでは、腰椎分離症の安静期間中に行える体のケアについて整理し、フィジオセンターで行う具体的なアプローチを紹介します。
□ 安静期間の意味
腰椎分離症の安静とは、骨折部にかかる過度な機械的ストレスを避けることが目的です。ただし、身体全体の活動量をゼロにすると、筋力低下・姿勢の崩れ・柔軟性の低下が起こり、復帰時にかえって負担が増えるケースもあります。
安静期間は、骨折部を守りながら、将来的な再発を防ぐための準備期間でもあります。この期間をどう活用するかが、その後の競技復帰の質を左右します。
□ 安静期間中に行うべき体のケアの例
1つ目は、体幹深層筋(多裂筋・腹横筋)のエクサイズです。腰椎の安定化には、多裂筋や腹横筋を中心とした体幹深層筋(インナーマッスル)の協調した働きが不可欠です。これらは「腰部を直接動かす」筋ではなく、動作中に脊柱を支える役割を持つため、腰椎の動きを伴わない範囲で実施の許可が得られる事があります。
2つ目は、 股関節・胸椎・胸郭の関節可動域を維持、改善するエクサイズです。腰椎分離症の背景には、「本来動くべき場所が動かず、腰椎に負担が集中している」という身体の使い方の癖が存在することが多くみられます。これらの柔軟性の低下しやすい部分に対して、腰椎のコルセットなどを着用した状態で、腰椎の動きを伴わない方法のストレッチも実施の許可が得られる場合があります。
□ まとめ
腰椎分離症の安静期間は、ただ「休む期間」ではなく、骨折部を保護しながら、再発しない体の基礎を作る非常に重要な期間です。体幹深層筋の活性化、股関節・胸郭・胸椎の関節可動域や柔軟性向上など、できることは多くあります。
適切なケアを行うことで、治癒を促進し、復帰後のパフォーマンス向上や再発予防につなげる事ができます。
医療機関を受診して腰椎分離症と診断された方や、その疑いがありながらも医療機関での外来リハビリテーションが受けられない方、保険制度上リハビリが終了してしまった方、部活動と両立しながら筋バランスの見直しを含めたリハビリテーションをご希望の方は、ホームページまたはお電話にてお気軽にお問い合わせください。どうぞよろしくお願いいたします。
理学療法士/保健医療科学修士号/認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP)/LSVT® BIG 認定セラピスト
日本体外衝撃波医学会認定 運動器体外衝撃波治療施術者
BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
津田 泰志
フィジオセンター
TEL:03-6402-7755