高齢で発症されたパーキンソン病の特徴と運動療法上の注意点

高齢で発症されたパーキンソン病の特徴と運動療法上の注意点

高齢になってからパーキンソン病を発症されたクライアント様やご家族様から、「動きが遅くなったが年齢のせいなのか病期の影響か分からない」、「転倒が増えてきた」、「以前より疲れやすく、外出を控えるようになった」といったご相談を受けることがあります。

パーキンソン病は中高年以降に発症することが多い疾患ですが、高齢で発症された場合には、若年発症例とは異なる臨床的特徴とリハビリテーション上の注意点があります。本ブログでは、高齢で発症されたパーキンソン病の特徴を整理し、運動療法を行う際の重要な視点について解説します。


1.高齢で発症されたパーキンソン病の臨床的特徴

高齢で発症されたパーキンソン病では、以下の特徴がみられやすいとされています。

・振戦よりも無動・寡動、姿勢反射障害が目立ちやすい
・歩行障害やバランス障害の進行が比較的早い
・認知機能低下、注意障害を合併しやすい
・フレイルやサルコペニアを併存しているケースが多い

特に重要なのは、疾患による運動障害と加齢変化が同時に進行する点です。筋力低下、関節可動域制限、感覚機能低下といった加齢要因が、パーキンソン病特有の運動症状をより強く影響させることがあります。


2.高齢発症例で転倒リスクが高まる背景

高齢発症パーキンソン病では、転倒リスクが高いことが多くの研究で報告されています。その背景には以下の要因が関与しています。

・姿勢反射障害の早期出現
・歩幅減少、すくみ足
・体幹・下肢筋力低下
・注意機能低下による二重課題耐性の低下

特に二重課題(Dual Task)能力の低下は、高齢発症例で顕著になりやすく、日常生活の中での「歩きながら考える」「周囲を確認しながら移動する」といった場面で不安定性が増大します。


3.高齢発症パーキンソン病に対する運動療法のエビデンス

近年のガイドラインやシステマティックレビューでは、高齢でパーキンソン病をお持ちの方に対しても運動療法の有効性が示されています。

・レジスタンストレーニングは下肢筋力と歩行能力を改善
・バランストレーニングは転倒リスクを低減
・有酸素運動は運動症状および非運動症状に好影響
・課題特異的トレーニングは日常生活動作の改善に寄与

ただし、高齢で発症された方では身体機能・認知機能・疲労耐性の個人差が大きいため、一律の運動処方ではなく、評価に基づいたエクササイズの選択と運動量の調整が重要です。


4.運動療法を行う際の注意点

高齢発症パーキンソン病に対する運動療法では、以下の点を重視する必要があります。

① 安全性の確保
転倒リスクを踏まえ、環境設定や介助量を適切に調整します。

② フレイル・サルコペニアへの配慮
高負荷になりすぎないよう、疲労度と回復時間を考慮します。

③ 認知機能を踏まえた指導
簡潔な言語指示に加え、視覚的キューやデモンストレーションを活用します。

④ 継続可能性の重視
一時的な改善よりも、安全に続けられる運動習慣づくりも重要です。


5.フィジオセンターにおける介入の考え方

フィジオセンターでは、高齢で発症されたパーキンソン病をお持ち方に対し、「疾患特性」と「加齢変化」を共に評価することを重要視しています。

まず、運動症状(無動・姿勢反射障害・歩行障害)に加え、筋力、関節可動域、バランス能力、認知機能、疲労耐性を全体的に評価します。その上で、

・病態由来の問題なのか
・加齢・生活習慣由来の問題

を整理し、エクササイズの実施の優先順位を決定します。

また、生活環境(住宅構造、屋内外の移動状況、外出頻度)やご家族の支援状況も踏まえて、「日常生活でお役に立つ可能性が高い運動」を選択します。

運動内容については、
・体幹・下肢の抗重力活動の促通
・バランス能力と姿勢制御の改善
・日常生活動作を想定した課題指向型トレーニング
を中心に構成し、無理なく継続できる形で段階的に進めていきます。

単に身体機能の改善を目指すのではなく、「安全に生活を続ける力を維持・向上していくこと」を介入のゴールとしています。


まとめ

高齢で発症されたパーキンソン病では、疾患による運動障害と加齢変化が重なり、症状が複雑化しやすくなります。

・転倒が増えてきた
・動作が遅くなり生活範囲が狭くなった
・外出や活動量が減ってきた

そのような変化を感じた際には、早期からの専門的評価と運動療法の実施が重要です。フィジオセンターでは、高齢で発症されたパーキンソン病の特性を踏まえた、安心・安全なオーダーメイドリハビリテーションを提供しています。ご興味のある方はお気軽にご相談ください。

理学療法士/保健医療科学修士号/認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP)/LSVT® BIG 認定セラピスト
日本体外衝撃波医学会認定 運動器体外衝撃波治療施術者
BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
津田 泰志

フィジオセンター
TEL:03-6402-7755

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