パーキンソン病の疲労感と運動量の調整方法

パーキンソン病の疲労感と運動量の調整方法

パーキンソン病をお持ちの方のリハビリテーションにおいて、運動が症状の進行抑制や機能維持に不可欠であることは、重要であることが示されています。しかし、対象者のクライアントの方から、「運動が大切なのは分かっているが、体が重だるくて動けない」、「少し動くと数日間疲れが取れない」といった、強い「疲労感」に関するお悩みです。

パーキンソン病に伴う疲労は、単なる「動いた後の疲れ」とは異なり、疾患特有の複雑な背景を持っています。今回のブログでは、疲労感が強い方に対する運動負荷の調整方法について、具体的な指針を解説します。


1.パーキンソン病における「疲労感」の正体とは

パーキンソン病をお持ちの方の約50%以上が経験すると言われる疲労感は、大きく分けて2つの側面があります。

・運動性疲労:筋の固縮(筋肉のこわばり)や無動により、効率の悪い動作を繰り返すことで生じる身体的なエネルギー消費が影響します。

・非運動性疲労:脳内の神経伝達物質(ドパミン、セロトニン、ノルアドレナリン)の不足や、自律神経症状、睡眠障害、抑うつ傾向などが複雑に絡み合って生じる「脳の疲れ」をさします。

特に重要なのは、「本人の主観的な疲労感」が、客観的な筋力低下や運動量と必ずしも一致しない点です。そのため、「頑張れば動けるはず」という精神論ではなく、科学的なアプローチによる負荷調整が求められます。


2.運動負荷調整の基準:エビデンスに基づく「Borg指数」の活用

リハビリテーションにおける運動強度の設定には、国際的に信頼性の高い「Borg(ボルグ)指数(自覚的運動強度:RPE)」</b>を用いるのが有効とされていますです。

疲労感が強い場合、まずは「Borg指数11(楽である)を超えない範囲から開始し、翌日に疲労が残らないことを確認しながら、段階的に「13(ややきつい)」まで引き上げていくことが、長期的には最も疲労感を軽減させるというデータが示されています。


3.具体的な運動負荷の調整方法

疲労を最小限に抑えつつ、運動効果を最大化するためには、以下の4つの戦略を組み合わせることが重要です。

① 分割して実施する事

1回30分の連続した運動が負担になる場合、「10分の運動を1日3回」に分割します。合計の運動量が同じであれば、分割して実施しても持久力の向上や運動症状の改善効果は同等であることが研究で示されています。

② 「薬の効き目(オン・タイム)」に合わせたスケジュール

パーキンソン病の疲労感は、薬の血中濃度が下がる「オフ・タイム」に顕著になります。運動は必ず薬が最もよく効いている時間帯に行い、オフ・タイムにはストレッチや呼吸法など、低負荷な活動に切り替える「メリハリ」が概説です。

③ インターバル・トレーニングの採用

一定のペースで歩き続けるよりも、少し早歩き(負荷:ややきつい)と、ゆっくり歩き(負荷:楽)を交互に繰り返すインターバル形式の方が、心肺機能への負担をコントロールしやすく、疲労を感じにくい傾向があります。

④ 睡眠と栄養のモニタリング

運動量だけに目を向けるのではなく、前日の睡眠時間や睡眠の質や、タンパク質摂取量を確認します。特に睡眠障害がある場合、運動負荷を20〜30%意図的に下げる柔軟な対応が、オーバートレーニングを防ぐ鍵となります。


4.「疲労のパラドックス」:なぜ動かないと余計に疲れるのか

ここで重要な視点は、「疲れを恐れて動かなすぎると、さらに疲労感が増す」という「疲労のパラドックス」です。活動量が低下すると、心肺機能や筋力が衰え(廃用症候群)、少しの動作でもエネルギーを過剰に消費する悪循環に陥ります。

海外の研究においても、適切な有酸素運動や筋力トレーニングは、中長期的には脳内の炎症を抑え、神経保護作用を促すことで、疲労感そのものを軽減させることが明らかになっています。


5.フィジオセンターにおける運動療法の考え方

フィジオセンターでは、疲労感の強いクライアントの方に対してし、以下の専門的評価に基づいたオーダーメイドの負荷設定を行います。

・疲労の定量的評価:疲労重症度質問票(FSS)などを用い、疲労が生活のどの場面で、どのように影響しているかを数値化します。

・徒手療法の併用:強い筋固縮自体や関節の固さが疲労の原因である場合、運動の前に徒手療法、関節に対するモビライゼーションを実施して、運動効率を高めます。

フィジオセンターでは、運動を「苦行」にするのではなく、「実施した後に、むしろ心身がスッキリして活動的になれる」ような、適切な負荷のバランスでのエクササイズを実施しています。


まとめ

パーキンソン病をお持ちの方の疲労感は、決して「気持ちの問題」ではありません。パーキンソン病自体に影響を受けてしまいます。しかし、適切な評価と負荷の調整を行えば、運動は疲労を軽減をするための取り組みとして大切です。

フィジオセンターでは、経験豊富な理学療法士が、お一人お一人の「今日の体調」に寄り添った最適なプログラムをご提案します。疲労感でお悩みの方も、安心してお気軽にご相談ください。

理学療法士/保健医療科学修士号/認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP)/LSVT® BIG 認定セラピスト
日本体外衝撃波医学会認定 運動器体外衝撃波治療施術者
BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
津田 泰志

フィジオセンター
TEL:03-6402-7755

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