変形性股関節症は、加齢、股関節への繰り返す負担、骨盤や大腿骨の形態的な要因などが重なって生じる、代表的な股関節の疾患のひとつです。症状としては、股関節周囲の痛み、動かしにくさ、歩行時の違和感、靴下を履く、しゃがむ、長く歩くといった日常動作のしづらさなどがみられます。
一般の方々の中には、「軟骨がすり減るから痛い」「レントゲンで軟骨が減っているから、そこがそのまま痛みの原因だ」と理解されている方も多いかもしれません。しかし、実際にはもう少し丁寧に考える必要があります。
関節軟骨そのものが痛みを感じるわけではありません
まず知っておきたいのは、関節軟骨自体には痛みの受容器がないという点です。関節軟骨には血管や神経がほとんど存在せず、そのため関節軟骨そのものが直接「痛い」と感じる組織ではありません。
関節軟骨は、股関節の骨の表面を覆う滑らかな組織で、関節の動きをなめらかにし、荷重を分散させる大切な役割を担っています。一方で、血流や神経が乏しいため、傷んだ際に自然回復しにくいという特徴もあります。
そのため、「軟骨が減っている=その軟骨自体が痛い」と単純に考えるのは正確ではありません。
では、変形性股関節症の痛みはどこからくるのでしょうか
変形性股関節症で感じる痛みは、関節軟骨だけではなく、軟骨の下にある骨(軟骨下骨)、滑膜、関節包、周囲の靱帯や筋肉など、さまざまな組織の変化が関わっていると考えられています。
関節軟骨が傷んでクッション機能が低下すると、関節にかかる力の伝わり方が変わり、軟骨下骨への負担が増えたり、関節内に炎症が起きたりしやすくなります。こうした変化が、痛みやこわばり、動作時の不快感につながるのです。
つまり、変形性股関節症は「軟骨だけの病気」ではなく、関節全体の構造変化によって起こる病態として捉えることが大切です。
画像所見と痛みの強さは必ずしも一致しません
変形性股関節症では、レントゲンやMRIで軟骨の摩耗や関節の変形がみられても、症状が比較的軽い方もいれば、画像上の変化がそれほど強くなくても、痛みや歩きづらさを強く感じる方もいます。
そのため、変形性股関節症の評価では、画像だけを見るのではなく、実際の痛みの程度、筋力、柔軟性、歩き方、日常生活の中で困っている動作などを総合的にみることが大切です。
エビデンスの高い対策として重要なこと
変形性股関節症への対応としては、「軟骨を守る」ことだけではなく、股関節にかかる負担を調整し、関節全体の機能を高めることが重要です。
現在、変形性関節症に対しては、エビデンスレベルの高い治療として、運動療法、患者教育、必要に応じた体重管理が基本的な柱とされています。
特に股関節周囲の筋力が低下すると、歩行時の安定性が低下し、関節にかかるストレスが増えやすくなります。そのため、股関節の安定性を高めるインナーマッスルや体幹深層筋の機能を高めること、股関節の動かしやすさを整えること、無理の少ない歩行や日常動作を身につけることが重要です。
また、過去のブログでも解説した内容ですが、必要に応じて杖などの補助具を用いることも、股関節への負担軽減に役立ちます。
動かないことが悪循環につながる場合があります
変形性股関節症の方では、痛みがあることで活動量が減り、その結果として筋力や持久力が低下し、さらに動くことがつらくなるという悪循環に陥ることがあります。
この悪循環を防ぐためには、痛みをただ我慢するのではなく、痛みの性質を見極めながら、できる範囲で身体活動を維持することが大切です。
関節軟骨自体には痛みの受容器がないからこそ、「軟骨が減っているからもう動かしてはいけない」と考えるのではなく、関節全体の状態を評価したうえで、適切に身体を使っていくことが大切になります。
フィジオセンターでの対応について
フィジオセンターでは、変形性股関節症をお持ちの方に対して、股関節だけでなく、骨盤・体幹・下肢全体の使い方を含めて評価し、状態に応じた個別のリハビリテーションを提案しています。
固さや短さのある筋・軟部組織への対応、機能を高めたい筋へのエクササイズ、姿勢や歩行動作の修正を通じて、痛みの軽減と動きやすさの改善、活動量の維持・向上をサポートします。
当センターでは、変形性股関節症をお持ちの方で、外来リハビリテーションが処方されていない方、医療保険での算定日数の影響により外来リハビリテーションが終了している方、また外来リハビリテーションと並行してさらなるコンディショニングをご希望の方に対して、最適と考えられる施術・運動指導をご提案しています。
ご興味のある方は、ホームページまたはお電話にてお気軽にお問い合わせください。
どうぞよろしくお願いいたします。
理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP)/マリガンコンセプト認定理学療法士
日本体外衝撃波医学会認定 運動器体外衝撃波治療施術者
LSVT® BIG認定セラピスト BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
フットコントロールトレーナー LICENSE B
津田 泰志
フィジオセンター
TEL:03-6402-7755