~大殿筋、使えていますか?~
怪我や手術のあと、トレーニングを再開しているのに
「なんだか動きがかみ合わない」
「力を入れているのに前に進まない」
そんな感覚はありませんか?
ヒップリフト(ブリッジ)やスクワット、デッドリフトをしっかりやっていても、走る・切り返すといった動きになると空回りしてしまう――
実はこうした相談は少なくありません。
走ったり方向転換をしたりするとき、体にはどこに負担がかかるでしょうか。
太ももの前(大腿四頭筋)を思い浮かべる方は多いと思いますが、もう一つ大切な役割を担っているのが「お尻の筋肉=大殿筋」です。
大殿筋は、
・足が地面につく前後~荷重応答期
・脚を後ろに伸ばすとき
・ストップや切り返しで体を安定させるとき
こうした場面で、動きの“土台”として働きます。
脚を後ろに伸ばす動き(股関節伸展)では、本来
大殿筋 → ハムストリングス(もも裏)
の順番で筋肉が働くことで、しっかりと力を発揮できます。
ただ、安静期間が長かったり、股関節の使い方がうまくいっていない場合、ハムストリングスばかりに頼る「ハムストリングス優位」の状態になりやすくなります。
膝の靱帯損傷後やアキレス腱のトラブル、足関節捻挫のあとにも、こうした傾向はよく見られます。大殿筋の収縮が遅れることで、ハムストリングスや脊柱起立筋に余計な力が入ってしまったり、上半身が流れて次の動作に入るのが遅れる/全身を固めるように動いてしまう=パフォーマンスが低下する、そして怪我の再発にもつながりやすくなります。
「痛みは落ち着いてきたのに、動きが戻らない」
「復帰のタイミングなのに、スピードやキレが出ない」
そんなときは、患部だけでなく股関節の使い方にも目を向けてみてください。
筋力を高めることはもちろん大切ですが、
“どのタイミングで筋肉が働くか” も、パフォーマンスや再発予防に大きく関わっています。
セルフチェックの方法として、膝を軽く曲げた状態で脚を後ろに伸ばす動きをしてみてください。
最初にお尻に力が入る感覚はありますか?
もしそれを感じられるようであれば、その感覚を保ちながらトレーニングを進めていきましょう。逆に、もも裏ばかりに力が入る場合は、まず「お尻を使う感覚」をつかむことがポイントになります。荷重をかけない運動でお尻を使う感覚がわかってきたら、踏み込み動作などの荷重をかけた動きのトレーニングをして負荷を上げていきます。
ただし、体幹の安定性や股関節のはまり(安定性・求心性)が不十分な場合、自己流のトレーニングだけではうまく修正できないこともあります。そんなときは、一度動きを評価してもらうことで、思っているよりもスムーズに改善するケースも少なくありません。
「筋力は戻ってきたはずなのに、なぜか動きに違和感がある」
と感じている場合は、動きの評価や筋肉の使い方がどうなっているかを専門家に確認してもらうのも一つの方法です。
当施設でも、こうした「症状は落ち着いたけれど動きが戻らない」といった段階の方に対して、評価とトレーニングのサポートを行っています。
磯あすか(理学療法士/日本スポーツ協会公認AT)