変形性股関節症と朝のこわばりとの関係について

変形性股関節症と朝のこわばりとの関係について

―朝、股関節が動かしにくい・歩き出しがつらいと感じる場合―

変形性股関節症をお持ちの方やご家族から、次のようなご相談を受けることがあります。

・朝起きた時に股関節が固まったように感じる
・立ち上がる時や歩き始めに動かしにくい
・しばらく動いていると少し楽になる
・朝は特に足が出にくく、不安になる

このような「朝のこわばり」は、変形性股関節症でみられることのある症状の一つです。股関節は、立つ・歩く・座る・階段を上るといった日常生活の動きを支える大切な関節です。そのため、朝の動き始めに股関節がこわばると、生活のしづらさを感じやすくなります。

ただし、朝のこわばりがあるからといって、すべてが同じ原因で起こっているわけではありません。今回は、変形性股関節症と朝のこわばりの関係、なぜ起こるのか、どのように考えていくことが大切なのかを、わかりやすく解説します。

朝のこわばりとは何か

朝のこわばりとは、起床直後や長く休んだ後に、関節が動かしにくく感じたり、こわばったように感じたりする状態を指します。痛みを伴うこともあれば、「引っかかる感じ」「動き始めが重い感じ」として自覚されることもあります。

変形性股関節症では、関節軟骨の変化だけでなく、関節包、滑膜、骨、周囲の筋肉なども影響を受けます。その結果、関節の滑らかな動きが出にくくなり、特に長時間動かさなかった後に、動き始めのこわばりが出やすくなることがあります。海外の変形性関節症ガイドラインでも、変形性関節症では活動に関連した関節痛とともに、朝のこわばりがあっても長く続きすぎないことが特徴の一つとして示されています。

なぜ変形性股関節症で朝のこわばりが起こりやすいのか

変形性股関節症で朝のこわばりが起こる背景には、いくつかの要因があります。

・関節周囲の組織が硬くなりやすい
・長時間動かないことで股関節まわりの柔軟性が一時的に低下しやすい
・お尻や体幹の筋肉がうまく働きにくくなる
・痛みを避ける動き方が続き、股関節がより動かしにくくなる

股関節は深い位置にあり、もともと安定性が高い関節です。その一方で、動きにくさが少しずつ進むと、朝の立ち上がりや歩き始めで「動かしにくい」「伸びにくい」と感じやすくなります。つまり、朝のこわばりは単に「関節が悪いから起こる」というよりも、関節そのものの変化と、周囲の筋肉・動き方の変化が重なって生じる症状と考えることが大切です。

朝のこわばりがある時、何が大切なのか

朝のこわばりがあると、「なるべく動かさない方がいいのでは」と思われる方もいらっしゃいます。しかし、変形性関節症の管理においては、運動療法は非常に重要な位置づけにあります。海外のガイドラインでは、変形性関節症のあるすべての方に対して、その人に合わせた治療的運動を勧めています。内容としては、局所の筋力強化や全身の有酸素運動が含まれ、継続によって痛みや機能、生活の質の改善が期待されるとされています。

また、徒手療法については、股関節や膝関節の変形性関節症に対して運動療法と併用して検討するものであり、単独での使用を強く支える十分な根拠はないとされています。さらに、電気治療や超音波治療などの物理療法については、積極的に勧められていないものもあります。つまり大切なのは、その場で少し楽になることだけではなく、動きやすさを日常生活にどうつなげるかという視点です。

どのような運動が行われるのか

朝のこわばりがある方では、いきなり大きく動かすのではなく、まず股関節まわりをやさしく動かし、身体を起こしていくことが大切です。

たとえば、
・寝たままで膝を軽く曲げ伸ばしする
・股関節を無理のない範囲で開いたり閉じたりする
・座った状態で骨盤をゆっくり起こす
・立ち上がる前にお尻や太ももの筋肉を軽く動かす

といった準備的な動きは、朝の動き始めを助けることがあります。

そのうえで、殿筋群の筋力強化、体幹機能の改善、立ち上がり動作や歩行練習へつなげていくことが重要です。朝のこわばりは「硬いから伸ばせばよい」と単純に考えるのではなく、股関節が動きやすくなることと、その状態で支える力が使えることの両方が必要になります。

ただこわばりだけを見ればよいわけではありません

ここで大切なのは、朝のこわばりそのものだけを切り取って考えないことです。朝のこわばりが目立つ方でも、その背景は一人ひとり異なります。関節可動域の低下が主な要因の方もいれば、お尻の筋肉の働きにくさ、体幹深層筋機能の低下、歩行フォームの乱れ、活動量の低下などが大きく関係している場合もあります。

そのため、本当に必要なのは「朝こわばるから股関節を動かす」という単純な対応ではなく、
・股関節がどの方向に動きにくいのか
・どの筋肉が働きにくいのか
・立ち上がりや歩き始めでどのように崩れるのか
・日中の活動量や生活動作にどのような影響が出ているのか

を確認したうえで、原因に合わせて介入することです。

フィジオセンターでの取り組み

フィジオセンターでは、変形性股関節症による朝のこわばりに対して、単に股関節の硬さだけを見るのではなく、関節可動域、インナーマッスルを含めた股関節周囲筋の機能、体幹深層筋機能、立ち上がり動作、歩行フォーム、荷重のかけ方まで総合的に評価しています。

そのうえで、
・股関節を含めた関節可動域の確認
・股関節のインナーマッスルや体幹機能の評価
・立ち上がりや歩行の詳細な分析
・日常生活につながる反復練習

を通じて、朝だけでなく一日の中で動きやすい身体づくりを目指します。

「朝、股関節が固まる感じがある」
「歩き始めがつらい」
「動いているうちに少し楽になるけれど不安がある」

そのようなお悩みがある方は、早めに専門的な評価を受けることが大切です。背景を整理したうえで適切に介入することで、朝の動き出しや日常生活のしやすさが変わることがあります。

まとめ

変形性股関節症では、朝のこわばりや歩き始めの動かしにくさがみられることがあります。海外のガイドラインでは、変形性関節症の特徴として、活動時痛とともに、朝のこわばりがあっても30分以内であることが多いと示されています。

・朝のこわばりは、変形性股関節症でみられることがある
・ただし、長時間続く場合は別の病態も含めた確認が必要
・運動療法は重要であり、股関節の動きや筋機能、歩行まで含めた評価が大切
・その場しのぎではなく、生活の中で動きやすくなることを目指すことが重要

朝の動き出しに不安を感じる場合は、専門的な評価を受けながら、状態に合った運動に取り組むことをおすすめします。フィジオセンターでは、医学的根拠に基づき、一人ひとりの状態に合わせたリハビリテーションを提供しております。ご興味をお持ちの方は、お気軽にご相談ください。

理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP)/マリガンコンセプト認定理学療法士
日本体外衝撃波医学会認定 運動器体外衝撃波治療施術者
LSVT® BIG認定セラピスト BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
フットコントロールトレーナー LICENSE B
津田 泰志

フィジオセンター
TEL:03-6402-7755

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