変形性股関節症における信号待ちの歩き始めで痛む場合の準備動作

変形性股関節症における信号待ちの歩き始めで痛む場合の準備動作

―止まったあとにそのまま踏み出すのではなく、「歩き出す前に一度整える」ことが大切です―

変形性股関節症をお持ちの方から、信号待ちのあとに歩き始めるときの痛みについて、次のようなご相談を受けることがあります。

・青信号になって最初の一歩が痛い
・しばらく立っていたあとに歩き出すと股関節がつまる感じがする
・歩いてしまえば少し楽になるが、最初だけ強く痛む
・止まったあとに急いで出ようとすると痛みが出やすい

このような症状があると、「歩くこと自体が悪いのではないか」と不安になる方もいらっしゃいます。しかし大切なのは、単純に歩行を避けることではなく、歩き始める直前の身体の準備を整えて、股関節に急な負担が集中しにくい状態をつくることです。

信号待ちの歩き始めで痛みやすい理由

歩き始めは、単に「足を前に出す」だけの動作ではありません。止まった立位から、身体の重心を左右どちらかへ移し、片脚の支持へ切り替え、前方へ進むための流れが必要になります。

変形性股関節症がある場合、この最初の切り替えの場面で股関節に負担が集中しやすくなります。特に、股関節周囲筋の筋機能が低下している場合、骨盤や体幹の安定性が不十分な場合、片脚に体重を乗せる準備ができていない場合には、最初の一歩で痛みを感じやすくなります。

また、信号が変わった瞬間に慌てて踏み出そうとすると、股関節が十分に支える準備ができていない状態のまま荷重がかかります。さらに、身体だけを前に出したり、足先が残ったままねじるように進んだりすると、歩き始めの股関節への負担が強くなりやすくなります。

一律に「歩き始めてはいけない」のではありません

まず大切なのは、変形性股関節症だからといって、信号待ちのあとの歩き始めが必ず悪いわけではないということです。痛みの原因は、股関節の変形の程度、関節可動域制限、股関節周囲筋の筋機能、体幹深層筋機能の機能、片脚支持の安定性、歩幅、歩き出し方などによって一人ひとり異なります。

問題になりやすいのは、歩行そのものではなく、準備ができていない状態で急に踏み出すことや、股関節に強い負担がかかる動き方を痛みを我慢して繰り返すことです。したがって必要なのは、「歩かないこと」ではなく、「歩き始める前の整え方を知ること」です。

歩き始めの前に行いたい準備動作とは

信号待ちのあとに最初の一歩で痛みが出やすい方では、歩き出す前に小さな準備動作を入れることで、股関節への急な負担を減らせることがあります。

たとえば、次のような準備が役立つことがあります。

・足幅を少し整え、狭すぎたり広すぎたりしない位置にする
・背すじを軽く伸ばし、上半身が前にシフトしすぎないようにする
・左右に小さく体重を移して、股関節まわりに体重を受ける準備をする
・膝を軽くゆるめて、硬く突っ張った状態をつくらない
・最初の一歩を大きくしすぎず、小さめに踏み出す

ここで大切なのは、深く曲げたり大きく動かしたりすることではありません。股関節、骨盤、体幹を歩き出しやすい位置に整え、最初の一歩を急発進にしないことが重要です。

特に避けたい歩き始め方

信号待ちのあとに痛みが出やすい方では、特に次のような歩き始め方に注意が必要です。

・青信号になった瞬間に急いで大きく踏み出す
・足先が地面に残ったまま、身体だけを先に前へ向ける
・痛い側に急に強く体重を乗せる
・斜め方向へ急いで進み、股関節をひねるように使う
・長く立ったあと、そのまま準備なく歩き出す

特に、足が残ったまま骨盤や体幹だけが先に動くと、股関節にねじれの負担がかかりやすくなります。向きを変える必要があるときは、身体だけをひねるのではなく、つま先の向きを整え、小さく踏み替えてから進むほうが、股関節への負担を減らしやすくなります。

「避ける」のではなく「整えてから動く」ことが大切です

たとえば、信号が変わる少し前に足幅を整える、膝を軽くゆるめる、左右に小さく荷重を移す、最初の一歩だけ歩幅を控えめにする、といった工夫だけでも歩き始めの痛みが軽くなることがあります。

また、痛みが強い日や長時間立ったあとの歩き始めでは、最初の数歩をゆっくりにすることも大切です。必要に応じて、杖やノルディックウォーキングのポールなどの歩行補助具の使用を検討することで、歩き始めの安定性を高められる場合もあります。

つまり、重要なのは「歩き出さないこと」ではなく、歩き出す前に身体の条件を整えることです。ちょっとした準備動作の有無で、股関節への負担のかかり方が変わることがあります。

ただ安静にしていればよいわけではありません

ここで重要なのは、「歩き始めが痛いから、できるだけ動かない方がよい」というわけではないことです。活動量を減らしすぎると、股関節周囲筋や体幹深層筋機能が低下し、かえって立つ、歩く、支えるといった基本動作が不安定になりやすくなります。

大切なのは、痛みの出にくい範囲で続けられる方法を見つけ、少しずつ身体の使いやすさを取り戻していくことです。歩き始めに痛みがある場合も、動作を工夫しながら無理の少ない方法を身につけていくことが重要です。

フィジオセンターでの取り組み

フィジオセンターでは、信号待ちの歩き始めで痛む方に対して、単に「気をつけましょう」とお伝えするのではなく、なぜ最初の一歩で痛みが出るのかを評価することを大切にしています。

股関節の関節可動域、股関節周囲筋の筋機能、体幹深層筋機能、片脚支持の安定性、歩行開始時の荷重移動、方向転換の方法などを確認し、その方に合った準備動作や歩き出し方につなげていきます。

「信号待ちのあとだけ痛い」
「最初の一歩が怖くて急げない」
「歩き始めに股関節がつまる感じがする」

そのようなお悩みがある場合は、痛みのある瞬間だけを見るのではなく、止まっている姿勢からどう歩き始めているかまで含めて確認することが大切です。

まとめ

変形性股関節症で信号待ちのあとの歩き始めに痛みが出る場合は、歩行そのものを避けるのではなく、歩き出す前の準備動作で負担のかかり方を変えることが、1つの方法として考えられます。

・信号待ちのあとの最初の一歩では、荷重移動と片脚支持への切り替えが必要になる
・準備なく急に踏み出すと、股関節に負担が集中しやすい
・膝を軽くゆるめる、左右に小さく体重移動するなどの準備が役立つことがある
・一歩目を小さめにし、方向転換の際には、足を捻る動きを少なく踏み替えて向きを整えることが大切
・長期的には、運動療法と自己管理が重要である

日常生活の中で「信号待ちのあとが怖い」「最初の一歩で痛みが出る」と感じる場合は、自己判断で我慢を続けるのではなく、専門的な評価を受けながら、ご自身の状態に合った歩き出し方を身につけていくことをおすすめします。ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。どうぞよろしくお願いいたします。

理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP)/マリガンコンセプト認定理学療法士
日本体外衝撃波医学会認定 運動器体外衝撃波治療施術者
LSVT® BIG認定セラピスト BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
フットコントロールトレーナー LICENSE B
津田 泰志

フィジオセンター
TEL:03-6402-7755

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