変形性股関節症における安心して掃除機がけをするための負担の少ない動き方

変形性股関節症における安心して掃除機がけをするための負担の少ない動き方

―「掃除をしない」のではなく、股関節に負担が集中しにくい動き方を知ることが大切です―

変形性股関節症をお持ちの方から、掃除機がけについて次のようなご相談を受けることがあります。

・掃除機をかけていると股関節が痛くなる
・前かがみになると股関節の前がつまる感じがする
・方向を変えるときに股関節に負担がかかる気がする
・掃除のあとに股関節が重だるくなる
・痛みが気になって掃除自体がおっくうになる

このような症状があると、「掃除機がけはしない方がよいのではないか」と不安になる方もいらっしゃいます。しかし大切なのは、単純に掃除を避けることではなく、掃除機をかけるときの姿勢や動き方を整えて、股関節に急な負担が集中しにくい状態をつくることです。

掃除機がけで股関節に負担がかかりやすい理由

掃除機がけは一見すると軽い家事に思われるかもしれませんが、実際には股関節への負担がかかりやすい動作がいくつも含まれています。たとえば、前方へ掃除機のノズルの部分を押す、手前に引く、左右に向きを変える、家具を避けながら移動する、といった動作では、骨盤や体幹を安定させながら股関節で体重を支える必要があります。

変形性股関節症がある場合、関節可動域制限、股関節周囲筋の筋機能低下、体幹深層筋機能の低下、片脚支持の不安定さなどがあると、こうした動きの中で股関節に負担が集中しやすくなります。特に、上半身だけを大きく前に倒したり、足を残したまま身体だけをひねったりすると、股関節の関節面に余分な負担が加わる可能性があります。

一律に「掃除機をかけてはいけない」のではありません

まず大切なのは、変形性股関節症だからといって、掃除機がけそのものが必ず悪いわけではないということです。痛みの出方は、股関節の変形の程度、関節可動域制限、筋力の低下、姿勢の傾向、体幹深層筋の機能、掃除の時間、掃除機の重さ、動き方などによって一人ひとり異なります。

問題になりやすいのは、掃除という作業そのものよりも、股関節に無理のかかる姿勢や、ねじれを伴う動きを繰り返してしまうことです。したがって必要なのは、「掃除をやめること」ではなく、「負担の少ない掃除機のかけ方を知ること」です。

掃除機がけの前に意識したい準備

掃除を始める前に、少し身体を整えるだけでも股関節への負担を減らしやすくなることがあります。

たとえば、次のような点が役立つことがあります。

・足幅を腰幅程度に整えて、立位を安定させる
・膝を軽くゆるめて、筋肉が突っ張った状態をつくらない
・背すじを軽く伸ばし、上半身だけが前に倒れすぎないようにする
・掃除機の持ち手の高さを確認し、無理に深く前かがみにならないようにする
・掃除を始める前に、その場で小さく左右に荷重移動して股関節まわりを軽く動かす

ここで大切なのは、股関節を大きく動かすことではなく、骨盤と体幹を安定させたうえで、掃除機を操作しやすい立ち方をつくることです。

負担の少ない掃除機がけの動き方とは

掃除機がけでは、腕だけで操作するというより、身体全体を小さく移動させながら行う方が、股関節への負担を減らしやすいことがあります。

たとえば、掃除機を前後に動かすときは、上半身だけを大きく倒して腕を伸ばすのではなく、歩幅を小さく使いながら身体ごと少し前後へ移動する方が安定しやすくなります。また、届きにくい場所を掃除するときも、股関節を深く曲げたまま無理に手を伸ばすのではなく、足の位置を細かく調整しながら近づく方が負担を減らしやすくなります。

方向を変えるときも注意が必要です。特に避けたいのは、足先が床に残ったまま骨盤や体幹だけをひねる動きです。向きを変える必要があるときは、股関節を捻るように使うのではなく、小さく踏み替えてつま先の向きを整えながら身体ごと向きを変えることが大切です。

特に避けたい掃除機がけの動作

変形性股関節症がある方では、次のような動作で痛みが出やすいことがあります。

・上半身だけを大きく前へ倒して掃除機を遠くまで押す
・足を固定したまま身体だけをひねって方向転換する
・痛い側に急に強く体重を乗せる
・長時間続けて同じ姿勢で掃除する
・家具のすき間などを無理な姿勢で一気に掃除しようとする

特に、前かがみとねじりが同時に入ると、股関節への負担は大きくなりやすくなります。無理に一度で終わらせようとせず、範囲を分けて行うことも大切です。

「頑張って続ける」より「負担を分散する」ことが大切です

掃除機がけで痛みが出やすい方では、一気に全部掃除しようとするよりも、短時間で区切る、途中で姿勢を整える、必要に応じて他の掃除方法も組み合わせる、といった工夫が有効な場合があります。たとえば、長時間の連続動作を避けるだけでも、股関節への負担が軽くなることがあります。

また、痛みが強い日には無理をせず、掃除機ではなく軽い掃除用具を使う、家族と分担する、休憩を挟むなどの調整も重要です。大切なのは、家事を完全にやめることではなく、その日の状態に応じて方法を選ぶことです。

フィジオセンターでの取り組み

フィジオセンターでは、掃除機がけで痛みが出る方に対して、単に「無理しないようにしましょう」とお伝えするのではなく、どの姿勢や動作で股関節に負担が集中しているのかを評価することを大切にしています。

「掃除のたびに股関節が痛い」
「前かがみでつまる感じがする」
「方向を変えるときに怖さがある」

そのようなお悩みがある場合は、掃除をやめるかどうかだけで判断するのではなく、実際にどのように動いているかまで含めて確認することが大切です。

まとめ

変形性股関節症をお持ちの方で掃除機を使用する際に痛みが出る場合は、家事そのものを避けるのではなく、姿勢や動き方を整えることで股関節への負担を変えられることがあります。

・掃除機がけでは、前かがみ、荷重移動、方向転換などで股関節に負担がかかりやすい
・上半身だけを倒す、足を固定したままひねる動作は痛みにつながりやすい
・足幅を整える、膝を軽くゆるめる、小さく踏み替えるなどの工夫が役立つことがある
・一度に長時間行わず、短時間で区切って負担を分散することも大切

日常生活の中で「掃除機がけのあとに痛む」「掃除の動作が不安」と感じる場合は、我慢しながら続けるのではなく、専門的な評価を受けながら、ご自身の状態に合った動き方を身につけていくことをおすすめします。ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。どうぞよろしくお願いいたします。

理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP)/マリガンコンセプト認定理学療法士
日本体外衝撃波医学会認定 運動器体外衝撃波治療施術者
LSVT® BIG認定セラピスト BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
フットコントロールトレーナー LICENSE B
津田 泰志

フィジオセンター
TEL:03-6402-7755

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