変形性股関節症と靴選びの基本

変形性股関節症と靴選びの基本

―「歩かないようにする」のではなく、股関節への負担を軽減する足元の環境を整えることが大切です―

変形性股関節症をお持ちの方から、靴について次のようなご相談を受けることがあります。

・歩くと股関節が痛くなる
・長く歩いたあとに股関節が重だるくなる
・靴によって歩きやすさが違う
・底の硬い靴や重い靴だと疲れやすい
・どのような靴を選べばよいかわからない

このような症状があると、「できるだけ歩かない方がよいのではないか」「特別な靴を履かなければいけないのではないか」と不安になる方もいらっしゃいます。しかし大切なのは、歩くことを過度に避けることではなく、ご自身の股関節の状態に合わせて、負担が集中しにくい靴を選ぶことです。

変形性股関節症で靴選びが大切な理由

歩行では、足が地面についた瞬間から、足部、膝関節、股関節、骨盤、体幹へと力が伝わります。靴は地面と身体をつなぐ部分であり、靴の形状や硬さ、安定性によって、歩行時の荷重のかかり方が変わることがあります。

変形性股関節症がある場合、関節可動域制限、股関節周囲筋の筋機能低下、片脚支持の不安定性、骨盤のアライメント左右差、歩幅の変化などがみられることがあります。そのため、足元が不安定な靴や、足に合っていない靴を履くことで、歩行中に股関節へ余分な負担がかかりやすくなる場合があります。

特に、靴の中で足が大きく動いてしまう、かかとが安定しない、つま先が窮屈で踏み返しがしにくい、といった状態では、歩くたびに股関節周囲の筋肉が過剰に働きやすくなります。

一律に「この靴がよい」とは言えません

まず大切なのは、変形性股関節症だからといって、すべての方に同じ靴が合うわけではないということです。痛みの強さや痛みを感じるタイミングは、歩き方のフォーム、股関節の変形の程度、関節可動域制限、股関節周囲の筋機能、足部自体の機能、姿勢、、歩く場所、普段の活動量などによって異なります。

そのため、「クッション性が高ければよい」「軽ければよい」「硬い靴がよい」と一つの条件だけで判断するのではなく、足元が安定し、無理なく体重移動ができるかを確認することが大切です。

靴を選ぶときに確認したいポイント

変形性股関節症の方が靴を選ぶ際には、次のような点が参考になります。

・かかとまわりが安定している
・靴の中で足が前後左右にずれにくい
・つま先に適度な余裕がある
・靴底が極端に薄すぎない
・重すぎず、歩行中に振り出しやすい
・足首や足部の動きを妨げすぎない
・靴ひもで足に合わせて調整できる

特に大切なのは、かかとの安定性です。かかとが靴の中で大きく動くと、接地時の安定性が低下し、股関節周囲の負担が増加することが想定されます。

また、つま先が窮屈すぎる靴では、足趾が使いにくくなり、踏み返しが不自然になることがあります。反対に、大きすぎる靴では靴の中で足が滑り、歩行中に余分な力が入りやすくなります。

注意したい靴の特徴

変形性股関節症がある方では、次のような靴で歩きにくさや痛みが出やすいことがあります。

・かかとが浅く脱げやすい靴
・靴底が極端に薄く、衝撃を受けやすい靴
・靴底が柔らかすぎて踏み返しの際に足元が不安定になる靴
・サイズが大きく、靴の中で足が動く靴
・ヒールが高くすぎて、身体が前方へ傾きやすい靴

もちろん、これらの靴を必ず避けなければならないという意味ではありません。短時間であれば問題ない場合もありますが、痛みが出やすい方や長い時間歩く予定がある場合には、股関節への負担が増えていないかを確認することが大切です。

「クッション性」だけに頼りすぎないことも大切です

靴選びでは、クッション性を重視される方も多くいらっしゃいます。確かに、適度なクッション性は接地時の衝撃を和らげる助けになることがあります。

一方で、柔らかすぎる靴は足関節が不安定になり、かえって股関節周囲筋が過剰に働く場合があります。大切なのは、衝撃を和らげることと、身体を安定して支えられることのバランスです。

実際に靴を履いたときには、その場で立つだけでなく、数歩歩いてみて、かかとが安定しているか、足が靴の中で滑らないか、股関節に違和感が出ないかを確認すると良いと考えます。

フィジオセンターでの取り組み

フィジオセンターでは、変形性股関節症の方に対して、単に「歩きやすい靴を履きましょう」とお伝えするのではなく、実際の歩行や立位姿勢、荷重のかかり方を評価することを大切にしています。

「靴を変えると股関節の痛みが変わる」
「長く歩くと片側だけ疲れやすい」
「どの靴が自分に合っているのかわからない」

このようなお悩みがある場合は、靴だけを見るのではなく、股関節、骨盤、膝関節、足部の動きがどのように関係しているかを確認することが重要です。

まとめ

変形性股関節症をお持ちの方にとって、靴選びは日常生活の歩きやすさに関わる大切な要素です。

・靴は地面から身体へ伝わる力に影響する
・かかとの安定性やサイズの適合は、歩行時の股関節への負担に関係する
・柔らかすぎる靴や脱げやすい靴は、足元の不安定さにつながることがある
・クッション性だけでなく、安定性とのバランスが大切

日常生活の中で「歩くと股関節が痛い」「靴によって歩きやすさが違う」と感じる場合は、我慢しながら歩き続けるのではなく、専門的な評価を受けながら、ご自身の状態に合った靴選びや歩き方を確認していくことをおすすめします。変形性股関節症をお持ちで、ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。どうぞよろしくお願いいたします。

理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP)/マリガンコンセプト認定理学療法士
日本体外衝撃波医学会認定 運動器体外衝撃波治療施術者
LSVT® BIG認定セラピスト BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
フットコントロールトレーナー LICENSE B
津田 泰志

フィジオセンター
TEL:03-6402-7755

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