変形性股関節症をお持ちの方から、「仰向けで寝ると股関節の前がつらい」、「横向きになると、股関節や腰まわりが痛くて眠りにくい」というご相談をいただくことがあります。
変形性股関節症をお持ちの方の場合、股関節の痛みや可動域制限により、歩き始めや立ち上がりだけでなく、進行すると夜間痛に悩まされることもあります。寝る姿勢そのものを大きく変えるのは難しいですが、クッションを上手に使うことで、楽な姿勢を見つけやすくなります。
今回は、変形性股関節症の方が仰向け・横向きで寝るときのクッション活用法について解説します。
変形性股関節症で寝る姿勢がつらくなる理由
股関節は、骨盤側の寛骨臼と大腿骨頭からなる関節です。変形性股関節症をお持ちの方では、関節軟骨のすり減りや関節自体の変形により、痛みや動かしにくさが生じます。
寝ているときは体重をかけて歩いているわけではありませんが、次のような要因で股関節に負担がかかることがあります。
・関節の内部に炎症があり痛みが出やすい
・仰向けで寝て足を伸ばしたときに股関節の前面が張る
・横向きで上側の脚が内側に入り、股関節が内転・内旋方向にねじれる
・痛い側を下にして寝ることで、股関節の外側が圧迫される
・寝返りのたびに股関節や骨盤まわりが動き、痛みが出る
そのため、寝るときは「股関節を無理に伸ばしすぎない」「膝が内側に入らない」「痛い部分を強く圧迫しない」ことがポイントになります。
仰向けで寝るときは、膝の下にクッションを入れる
仰向けで寝る場合は、膝の下にクッションや枕を入れる方法がおすすめです。仰向けでは膝の下に枕を入れることで股関節を支えやすくなる方がおられます。
クッションの置き方
仰向けになり、両膝の下もしくは、膝の少し上の部分ににクッションを入れます。膝が軽く曲がり、股関節も少し曲がる程度が目安です。この姿勢にすることで、股関節を無理に伸ばしきらずに済みます。股関節の前面や腰部の脊柱起立筋の緊張が強い方では、足をまっすぐ伸ばして寝るよりも楽に感じることがあります。
高さの目安
クッションは高すぎないものを選びましょう。膝が大きく曲がりすぎると、かえって寝返りがしにくくなったり、腰が丸まりすぎたりすることがあります。「少し膝が曲がって、股関節の前がつっぱらない高さ」が目安です。バスタオルを丸めて高さを調整すると、自分に合う高さを見つけやすくなります。
横向きで寝るときは、脚の間にクッションを挟む
横向きで寝る場合は、両足の間にクッションを挟む方法が有効です。横向きでは、膝の間に枕を入れることで股関節を支えやすいとされています。
クッションを挟む位置
クッションは、膝だけでなく、太ももから膝、必要に応じて足首まで支えられる長さがあると安定しやすくなります。特に、痛い側を上にして横向きになる場合、上側の膝が内側に入ると、股関節が内転・内旋方向に入りやすくなります。この姿勢では、股関節の前方や外側に痛みを感じる方がおられます。
足の間にクッションを挟むことで、上側の足を支え股関節が過度にねじれるのを防ぎやすくなります。
痛い側は上?下?
痛い側を下にすると、股関節の外側が圧迫されてつらい方がいます。その場合は、痛い側を上にして、脚の間にクッションを入れると楽になることがあります。
一方で、痛みの出方は人によって異なります。「右が痛いから必ず右を上にする」と決めるのではなく、クッションを使いながら、痛みが少なく比較的睡眠時間をしっかり確保できる姿勢を探すことが大切です。
クッション選びのポイント
クッションは、柔らかすぎるものよりも、ある程度形を保てるものが使いやすいです。
1. 高さを調整しやすいもの
股関節の状態や体格によって、楽な高さは異なります。
最初から厚いクッションを使うより、バスタオルや薄めのクッションを重ねて調整する方が安全です。
2. 膝が沈み込みすぎないもの
柔らかすぎるクッションでは、足の重みでつぶれてしまい、股関節の位置を保ちにくくなります。
横向きで使う場合は、膝と膝の間に適度な空間を保てる硬さがあるとよいでしょう。
3. 長さがあるもの
横向きで寝るときは、膝だけでなく太ももや足首の位置も影響します。抱き枕のように長さのあるクッションを使うと、足全体を支えやすくなります。
寝返りのときの工夫
寝ている姿勢が楽でも、寝返りのときに痛みが出る方もいます。
その場合は、足だけを先に動かすのではなく、骨盤と体幹を一緒に動かす意識を持つとよいでしょう。横向きになるときは、膝の間にクッションを挟んだまま、身体全体を丸太のようにゆっくり向きを変えると、股関節のねじれを減らしやすくなります。急に足を大きく捻るような寝返りは、股関節に負担がかかることがあります。
こんな場合は専門家に相談を
クッションで寝方を工夫しても、次のような状態が続く場合は、医療機関への受診や相談が必要です。
・夜間痛が続き、睡眠が妨げられている
・歩き始めの痛みが強くなっている
・靴下を履く、爪を切る、階段を上るなどの日常動作が難しくなっている
・痛みのために歩く距離が大きく減っている
・しびれや強い脱力感を伴う
変形性股関節症では、日常生活で股関節への負担を減らす工夫が重要です。また、運動療法は痛みを誘発しないよう慎重に始め、徐々に強度を高めることが大切とされています。
まとめ
変形性股関節症で寝るときは、股関節を無理に伸ばしすぎたり、横向きで脚が内側に落ちたりしないようにすることが大切です。
・仰向けでは、膝の下にクッションを入れて股関節を軽く曲げる。
・横向きでは、膝の間にクッションを挟み、股関節のねじれを減らす。
このような小さな工夫で、寝ている間の股関節への負担を軽減しやすくなります。
ただし、痛みの出方や楽な姿勢は一人ひとり異なります。フィジオセンターでは、股関節の状態や歩き方、日常生活での動き方を確認しながら、その方に合った身体の使い方を一緒に考えていきます。ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。どうぞよろしくお願いいたします。
理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP)/マリガンコンセプト認定理学療法士
日本体外衝撃波医学会認定 運動器体外衝撃波治療施術者
LSVT® BIG認定セラピスト BFJ公認野球指導者 基礎I U-15
フットコントロールトレーナー LICENSE B
津田 泰志
フィジオセンター
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