変形性股関節症の発症リスクと「変えられる要因」について

変形性股関節症の発症リスクと「変えられる要因」について

当センターでは定期的に、変形性股関節症の正しい理解と、進行予防のための情報発信を行っています。今回のブログでは、カナダ・アルバータ州で4,733名を対象に行われた大規模調査をもとに、「変形性股関節症の発症に関わる“変えられる要因」についてご紹介します。

□変形性股関節症の有病率と背景
変形性股関節症は、加齢とともに発症率が高まる代表的な運動器疾患であり、日常生活に大きな影響を及ぼします。本調査では、自己申告による股関節症の有病率は8.5%であり、特に女性では男性よりも高い有病率が確認されました。年齢階級別では、65歳以上の女性で24.6%、男性で14.2%と、年齢とともに有病率が増加しました。

この場合の、変えられない要因としては、1つは性別(女性に多い)と加齢、加えて遺伝的な要素が考えられます。

□研究で明らかになった「変えられる要因としては」

1つ目は、肥満傾向です。BMI(Body Mass Index:以下BMI)30以上の肥満傾向の方は、股関節症発症リスクが2.52倍に増加します。特に女性では、この傾向が顕著で、肥満女性は股関節症発症リスクが6.67倍という結果でした。加えて、肥満は単に関節への機械的負荷を増加させるだけでなく、脂肪組織から分泌される炎症性サイトカイン(アディポカイン)によって関節内環境を悪化させることが指摘されています。やはり、適正体重の維持は変形性股関節症の進行予防にとって大切です。

2つ目は、日常的な活動パターンです。「立ち仕事や歩行が多いが、重いものは持たない」とされた作業を行う人は、股関節症発症リスクが50%減少していました。加えて、「軽い荷物を持つ・階段を登る」などの軽度な活動も、発症リスクを55%減少させました。一方で、過度な負荷や重労働による股関節症リスクは確認されませんでしたが、これは調査対象者の職種の偏りなども影響していると考えられます。特に荷物を持つ活動などは、研究内容によっては変形性股関節症の進行リスクと結論付けられている論文もあるため、注意が必要です。

3つ目は、ビタミンCの摂取量です。食事調査の結果から、推奨量以上のビタミンCを摂取している人は、股関節症発症リスクが48%減少することが示されました。ビタミンCはコラーゲン合成を促進し、関節軟骨の健康維持に寄与するとされています。また、抗酸化作用による関節内の炎症抑制効果も期待できると考えられています。既に医療機関に通院されている方で、管理栄養士の方などによる栄養指導を受ける事ができる場合は、この点について確認を行っても良いかと思われます。

4つ目は、女性におけるビタミンD摂取のリスクです。一方、興味深い結果として、女性ではビタミンD摂取量が推奨以上の人ほど股関節症リスクが高いというデータも出ています。しかし、この結果については因果関係は明らかではなく、既に骨粗鬆症や関節症リスクが高い女性が積極的にビタミンDを摂取していた可能性もあり注意が必要です。
ます。

□これらの研究結果から、今すぐ生活に取り入れる事ができる事としては、
・体重管理を管理する事
・過度な関節負荷を避けつつ、日常的に「歩く・立つ・軽い運動」を心がける事
・ビタミンCを中心とした、抗酸化栄養素の摂取を意識する事
などが挙げられます。

フィジオセンターでは、生活習慣の見直しや運動療法を通じて、股関節症の予防・進行抑制をサポートしています。変えられない「年齢」や「性別」、「股関節の形態」に目を向けるのではなく、自分で変えられる習慣に注目することが、股関節症との上手な付き合い方の第一歩かもしれません。

当センターでは変形性股関節症・変形性膝関節症をお持ちの方で、外来リハビリテーションが処方されていない方、また医療保険での算定日数の影響により外来リハビリテーションが終了されている方、外来リハビリテーションと並行してリハビリテーションの実施をご希望される方に対して、変形性股関節症・変形性膝関節症をお持ちの股関節に対して最適と考えられる施術・コンディショニングをご提案しています。

ご興味のある方は、ホームページまたはお電話にてお気軽にお問い合わせください。
どうぞよろしくお願いいたします。

理学療法士 保健医療科学修士号 認定理学療法士(運動器・脳卒中)
Certified Mulligan Practitioner(CMP) / マリガンコンセプト認定理学療法士
LSVT®BIG認定セラピスト
津田 泰志

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